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2010年 08月 15日
ドグラ・マグラ 【印象度:94】
たまたま5年ぶりくらいに福岡に出張する機会があり、
移動時間に読み物があったほうがいいなと、
部屋の隅に、読む時間がなくて積んであった本作を、
なにげに鞄に詰め込んだのですが、
たまたま本作が福岡を舞台としたお話だったので、
土地勘をつかむことができ、臨場感が出てちょうどよかったです。

米倉斉加年の表紙絵もあって、
じとじと、おどろおどろしい印象を持っていたのですが、
そういう要素もなくはないものの、
どちらかというと理詰めで、からっとドライな印象を持ちました。

冒頭は、カフカの「変身」の逆パターンといえますかね。
まず、思いのほか、非常に読みやすいことが驚きでした。
1935年(昭和10年)の作品ですので、
なにがしかの古臭さを感じてしまうかと思ったのですが、
独特の言葉選びと、仮名遣い、ルビ遣いによる、
禍々しくも、軽快でくだけた語り口は、今なお新しいです。

ただし、間に挟まった書簡は読みづらいものもあって、
古文が読みづらいのは、いたし方ないとしても、
チャカポコ節が非常に読みづらくて参りました。
三行で言える内容を、無理矢理薄めて、変なリズムに乗せているためで、
人口に膾炙すべく作ったものが、苦役のごとく読みづらいというのも、
正木博士のお茶目な一面をあわらしていると言えるでしょう。

本作品は、「心理遺伝」(生物の後天的経験が遺伝情報として蓄えられる)
の説を取り、それを軸に編成したミステリィ作品といえますが、
構想十余年というだけあって、非常に緻密に構成されているのが伺えます。

主人公「私」による独白がベースになっていて、
その間に、遺書が挟まっているという構成ですが、
早い段階で、作中作として本作「ドグラ・マグラ」が登場することで、
再帰構造となり、無限ループが形成されています。
作中人物、若林博士も、「ドグラ・マグラ」を読んでおり、
これを希代の奇書として紹介するというハードルの上げようです。

主人公も作中で「ドグラ・マグラ」を読むことになります。
ドグラ・マグラ」を眺めた際に、
「何となく人をばかにしたような、キチガイジミた感じのする大部の原稿」
と感想を漏らしますが、これが的を射ており、
(さすが作者なことはあります)
本作を一言で表現しろと言われれば、これに尽きます。

間に挟まれた遺書は、通常の遺書の概念を超えて、
チャカポコ節(阿呆陀羅経)、新聞の切り抜き、他の人の手記、
心理遺伝にかかわる学術論文、狂人開放治療場やら法医学解剖室やらの映像実況、
などを含むため、途中で、一体何を読んでいたのかを見失い、惑わされます。

さらに非常に大きなトリック(だまし)が入りますので、大きく混乱させられます。

しかし、作品を読み終えると、真相いかんに関わらず、
非常に整然と収まるべきところに収まったことに気づきます。


で、まとめに入りますが、
どちらかというと、細胞にじかに伝わる、ぞわぞわとした感覚よりも、
あくまで、脳髄に対して刺激的な作品なのかなと思います。
作品に対する直接的な感動よりも、
よくぞ、これだけのものを創りあげたなぁという、
感心の気持ちが勝ってしまう感じですね。

覚醒後のアスカ弐号機(対量産機)ばりのアクションは圧巻でした。

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)
by camuson | 2010-08-15 21:55 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
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