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2011年 04月 30日
虐殺器官 【印象度:87】
2007年発表の近未来軍事SF作品。

時代設定は明記されていませんが、せいぜい20~30年くらい先の未来でしょうか。

と思いましたが、
主人公が、映画を中心に80年代あたりから現在までの作品を引用しまくる一方で、
現在以降の近未来作品からの引用が皆無であることを考えると、
近未来ではなく、近未来的パラレルワールドが舞台と考えるのが自然ですかね。
まあ、近未来の作品を引用しまくられても読者はチンプンカンプンですが(笑)

東欧、中東、南アジアあたりに、内戦の嵐が吹き荒れ、
核兵器攻撃によるクレーターが、いくつも形成され、
大国が情勢をマネージメントするための効率的手法として、
これまで表向きには凍結されていた要人暗殺が一般化し、
アメリカ合衆国では、軍事のシロウトCIAの二の轍を踏まぬよう、
国軍として要人暗殺専門の精鋭部隊に力を入れる一方で、
人海戦術的な周辺部分は、PMF(民間軍事会社)にアウトソースするような
世界設定。

内戦地では、子供が銃を持ち、
他に情報を与えられることもなく、幼くして命を落としていく一方で、
通常の文化圏では、あらゆる人物、事物の行動が記録・集約されて、
それらの情報を視覚化するレイヤを重ねた空間の中で生活が営まれ、
都市基盤や移動体など自律的なコントロールが必要な部分の動力源として、
生体から切り取った人工筋肉を活用する程度にテクノロジーは進展している。

主人公「ぼく」は、国家暗殺部隊に所属する20代前半のアメリカ人青年。
暗殺執行ユニット(4人1組)のリーダー格で動いているが、
軍人として育てられたわけではなく、ごく一般的な教育を受け、
映画や文学に詳しく、繊細な思考をする文化系の人。

殊に、要人暗殺のように、情勢に応じた柔軟な対応を要するミッションにおいては、
テクノロジーの進展が目覚しいとはいえ、人間の能力には、いささか及ばず、
精鋭部隊が直接乗り込んで、事を成す必要がある。

内戦地の子供たちが、殺人マシン(または被殺人マシン)であるのと対照的に、
暗殺部隊には、柔軟な思考力が必要であり、
チームでひとつの目的を果たすための情操が必要であり、
結果、普通に人間的で繊細な人たちによって組織されている。


この物語は、そんな暗殺部隊に所属する主人公の
心の葛藤が軸となって進んでいきます。

近未来的パラレルワールドの中に、
現代の地球上でおきている争いごとの問題を、
より際立たせて落とし込んだその世界設定がすばらしいです。

ただ、緻密な世界設定と、冒頭のあまりにも鮮烈な死のイメージと比べると、
虐殺器官の話がいまひとつ心に刺さって来なくて、
終盤、盛り上がりに欠けたかなあと思います。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
by camuson | 2011-04-30 21:58 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
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