書籍
2005年発表の警察小説。
警察小説というと、
学生の頃、高村薫の「マークスの山」を途中で挫折したくらいで、
読んだことがないのですが、
テレビの刑事ドラマが廃れてなくなってしまうことがないように、
小説においても、一ジャンルとして定着しているようですね。
さて、警察小説の中でも、本作は異色で、刑事ドラマではなく、
警察官僚(キャリア)ドラマ。主人公が警察庁長官官房の総務課長です。
浮かれた部分のない、かなり固めな内容であるにもかかわらず、
とにかく読みやすく、
珍しく休日一日で一気に読んでしまいました。
余計な飾りのない文章でありながら、
各登場人物の機微を拾い上げていて、
それらが絡み合った結果としてドラマが動いていく感じが出ています。
堅実に中身が詰まっている感じです。
人の集まりである組織というものが持つ性質についても、
詰め込まれている気がします。
組織の中で生きる者の身のこなしであったり、苦悩であったりを、
同じく組織の中で生きている者として興味深く読みました。
主人公の奥さんはなかなかの人物ですね。
隠蔽捜査 (新潮文庫)