書籍
漫画
映画
アニメ
テレビ
ゲーム
音楽
タイトル
印象度
ラン
書籍索引
漫画索引
映画索引
アニメ索引
テレビ索引
ゲーム索引
音楽索引
時間
空間
人間
ランまとめ
2011年 10月 27日
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 【印象度:94】
2002年発表の日本のノンフィクション作品。文庫版を読了。

著者は1960~1964年(9~14歳)の5年間、
プラハにあるソ連スクールに通っていました。
当時のチェコはソ連の衛星国になっており、
多くのソ連人が乗り込んでいたことから、
その子女向けにソ連外務省が設営する学校がありました。
各国からのチェコ赴任共産党員の子弟も通っていて、
その数は50カ国に及んだそうです。

ソ連スクール時代に著者と仲良しだった3人の同級生、
ギリシャ人のリッツァ、
ルーマニア人のアーニャ、
ユーゴスラビア人のヤスミンカ、
に、ソ連崩壊を隔てて、実に30年ぶりに会いに行くというお話で、
それぞれ一人ずつ焦点をあてた
「リッツァの夢見た青空」
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」
「白い都のヤスミンカ」
の3編から成っています。

3編すべて、ソ連スクール時代のエピソードから始まりますが、
著者が、否応なく放り込まれた環境で築いた生の経験談ですから、
描かれる情景が瑞々しく、リアリティがあります。
軽妙なタッチなのですが、ただの思い出話に終わらず、
すべてが本流に束ねられていくようなムダのない構成力で、
ぐいぐい読まされてしまいます。

そして30年後に再会を思い立ちますが、
まずは居所を探すこところから始めねばなりません。
社会情勢の激変と、それぞれの国状に翻弄されて、
それぞれが予想もしなかった土地に移り住んでおり、
その生き様を探る良質なサスペンスとしても堪能できます。

社会主義という大社会実験は、
色々な方面から様々な角度から検証されるべきだと考えますが、
本作は、その面でも価値があると思います。


3つのタイトルに含まれる青、赤、白から、
ロシア国旗がすぐに頭に浮かびますが、
この3色は汎スラブ色と言われ、
多くのスラブ民族国家、
例えばチェコや旧ユーゴの国旗にも使用されていました。
むしろそちらの意味合いなんでしょうね。

青い空、白い都に対して、赤い真実という表現は抽象的ですが、
社会主義(赤)が強いた一人の人間の生き様としての真実
というように私は取りました。


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
by camuson | 2011-10-27 21:57 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://camuson.exblog.jp/tb/16241357
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
<< マタンゴ 【印象度:60】 阿彌殻断層の怪 【印象度:91】 >>