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2012年 01月 05日
ヰタ・セクスアリス 【印象度:55】
書籍
ヰタ・セクスアリス 【印象度:55】_e0020682_18585477.png

1909年発刊の森鴎外による自伝的なエッセイ。
私は、森鴎外に堅苦しいイメージを持っていて、
これまで読んだことがありませんでしたが、
本作は、タイトルが「ゐ」から始まるという理由だけで読みました。
これで、コンプリートまで、「を」と「ん」の残り2つです。

哲学者という設定の主人公は、性欲の薄い人のようですが、
その主人公が、自分の人生を振り返って、性欲に関係しそうなエピソードを
ほぼ時系列で、サラサラ、ダラダラと書き綴ったものです。

ダラダラと退屈な話が続くのですが、
一点だけ、サラッと驚かせてくれました。
主人公の少年、青年期の周囲の友人、知人達は、
「軟派」と「硬派」にほぼ二分していて、
拮抗勢力となっているのですが、
言葉の定義が現代とは少し異なるようなのです。

「軟派」は、性欲の対象が女性である男性、
「硬派」は、性欲の対象が男性(少年)である男性という意味のようです。
なるほど、
「こまけぇこたぁいいんだよ!!」というような男前な定義ですね。

主人公は、不細工という設定にも関わらず、
なぜか硬派に好かれる傾向があって、
身を守るために常に懐刀を忍ばせていたそうです。

他には、見合いの話とか、大した話はないのですが、
明治初期の町の様子、生活の様子が細かく見て取れて、
資料的に面白いというのはありますね。

随所にラテン語、ドイツ語、英語等がちりばめられ、
意図的に衒学的な装飾が施されていて、
それもまた明治という時代を感じさせます。

ヰタ・セクスアリス (新潮文庫)
by camuson | 2012-01-05 23:25 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
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