書籍
2005年のスウェーデンの小説。ハヤカワ・ミステリ文庫版を読みました。
大物実業家の不正を暴くのに失敗し、
逆に名誉毀損で有罪となったジャーナリストと、
社会不適格者の烙印を押された凄腕身辺調査員との
2つの視点からの精緻な描写により、
根の深い社会問題の一端を浮き彫りにする切り口あり、
浮世離れした孤島ミステリーあり、
知的好奇心をくすぐる様々なものが内包されていて、
立体的なリアル感があります。
すぐにでも続きが読みたいです。
以上が、上巻を読み終えたときの私の感想メモです。
世界的なベストセラーであるにもかかわらず、
いぶし銀的な大傑作なのではないだろうか?
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました・・・
(上巻を読んでいたときのことですが)
下巻からは、上巻で別々に進んでいたストーリーの主人公2人が合流するのですが、
女主人公に対する男主人公の接し方が、向こうの人特有のくどさがあって、
更にそれを女主人公がどう感じているか、説明的な描写が続くという
作者のくどさも重なってすっかり萎えてしまいました。
上巻の静かで知的で神秘的な雰囲気と
これに刺激的な話題が絡む絶妙なバランスが崩れつつあるなぁと思いつつも、
謎を追うサスペンスとして先が気になり、読ませる推進力はまだ残っています。
しかし、意外とトントン拍子に謎が解けてしまい、
犯人像にしてもフィクションとしては結構ありがちなもので、
期待していたサプライズを得られず、
それでいて、話を引っ張るので、しまいにはグダグダな感じです。
前半と後半の落差がここまで大きな作品も珍しいです。
前半印象度90以上(期待値95以上)
後半印象度60以下
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)