書籍
1996年発表。講談社文庫版を読みました。
2010年3月に購入して以来、積んでありましたが、
実家に帰るときにたまたま持ち帰って読みました。
森博嗣を読むのは3年以上ぶりです。
ミステリとしての仕立てや雰囲気がよくできていて、
安心して楽しめます。
比較的わかりやすいトリックを仕掛けて、読者に謎を解かせて、
その後に揺さぶりをかけるという手法は、
前作「冷たい密室と博士たち」に似ていると思ったのですが、
前作よりもメイントリックがずっと単純で、
その仕掛けがわかると、犯人が特定できてしまうというものです。
謎解きの醍醐味を期待していたので、
少し肩すかしを食らってしまいました。
最後の老人と少女のエピソードは、
館のコンセプトと綺麗につながっていて、
思わず「おっ」と思ったのですが、
これらディテールが印象的な分、
少しもったいないという印象を持ってしまいました。
軽快なテンポで読みやすいのですが、
各章に付けられた思わせぶりなサブタイトルや、
何が面白いのかわからない、ことわざの言葉遊びなどが、
上滑りしている気がしないでもありません。
前2作ではあまり気にならなかったので、
こちらが歳を取ったのが原因でしょうか?
それともシリーズに脂が乗ってきて、
更に全開になる前触れでしょうか?
途中で出てくる数学パズルは良く考えたなと思います。
すべて数分考えて解けないのであきらめて読み進めてしまいました。
笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)