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2013年 06月 10日
そして誰もいなくなった(And Then There Were None) 【印象度:80】
書籍
そして誰もいなくなった(And Then There Were None) 【印象度:80】_e0020682_16092546.png

1939年発表のミステリ小説。

ここのところ英文はGraded Readersを読んでいたのですが、
作品としての面白さはさほど期待できそうにないことがわかり、
背伸びしてでも興味のある作品の原文を読もうと思った次第です。

本作については、2010年3月に講談社ルビー文庫
(英文をベースに、難しい単語等に日本語訳がルビで振られているもの)
を購入して読み始めたことがあったのですが、
まだ英語力が足りないとあきらめて放置していました。

しかし、このたび電子書籍版で購入しなおして、読破することができました。
辞書ツール様様です。
難しい単語は多いのですが、
文章は比較的平易で余計な修飾が少ないのも幸いしました。

検索機能を使い、特定の人物の行動を拾い読みできるのも
電子書籍ならではの便利さですね。



さて、作品についてですが、おそらく幼少の頃、
映像化された作品を部分的に見たことがあり、
犯人が10人の中の1人の男であることは記憶に残っているのですが、
誰だかは特定できない状態でした。
そこで、あえて日本語訳には手を出さず、
原文で驚きたいと思い挑んでみました。
途中でネタバレ情報を自らネットで不可抗力的に読んでしまったりせず、
無事に楽しむことができました。

作品の雰囲気ですが、想像していたよりも、暗くないというか、
岩場しかない小島に、モダンな家という具合に、
犯人が隠れる場所や隙がまったくないことを強調しているため、
恐怖が潜む闇や影などの深みが意外とないのですよね。
殺人も淡々と実行されていき、悲壮感はあまりありません。
見立て殺人も地味な絵が多いです。

島での出来事は思いのほか淡泊な読み心地だったのですが、
最後をボトルメッセージで締めくくったのは素晴らしいアイディアでした。
犯人による事件の真相告白と心情吐露は、
犯人の人生の集大成、凝縮された真の姿が顕現しているのですが、
それが世に出るか永遠に封印されるか、
その行方を偶然に委ねてしまう達観した遊び心、
その美意識が味わい深いです。


And Then There Were None (Agatha Christie Collection)
by camuson | 2013-06-10 22:07 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
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