書籍
1947年発表。電子書籍で購読しました。
オペラ歌劇団で起こった殺人事件を扱ったミステリー小説。
探偵は横溝作品でおなじみの金田一耕介ではなく由利麟太郎。
作品の過半が殺人被害者のマネージャーによる手記の
引用からなっているのですが、
この手記が、どういうわけだか、べらんめえ調のしゃべり言葉で、
思いついたことを自問自答を含めて漏らさずに字に起こしたような調子で、
不自然極まりなく、
そもそもこれでは、思考のスピードに書くスピードが間に合わないはずで、
不自然極まりなく、
読むのがとてもつらかったです。
途中から当該マネージャーは、
探偵役に読まれること前提に手記を書くことになるのですが、
その前後で、文体が全く変わらないのもおかしいだろとも思いました。
作品の6割程度読み進めたところで、
読者に対して挑戦が突きつけられる本格ミステリだったので、
一応、もう一度読み直してから、答合わせをしました。
まあ、結果的には作者に見事にやられました。
しかし気持ちのいいヤラレタ感がありません。
驚き面では悪くはないのですが、
必然性や納得感が不足しているのだと思います。
蝶々殺人事件 (角川文庫)