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2014年 08月 16日
Xの悲劇 【印象度:75】
書籍
Xの悲劇 【印象度:75】_e0020682_21194197.png

1932年発表の推理小説。
ハヤカワ・ミステリ文庫の電子書籍版(宇野利泰訳)を読みました。

エラリー・クイーンがバーナビー・ロス名義で著した悲劇4部作の第1作目です。

探偵は引退したシェークスピア舞台役者で、
事あるごとにシェークスピア劇の台詞を引用し、
中世風の大邸宅に怪しい老召使を何人も抱え込むという、
一言でいえば変人です。
この老探偵の存在により、作品全体がペダンティズムに包まれています。


本作について言えば、この老探偵が金田一なみに役に立ちません。

事がすべて終わった後の探偵の推理は論理的ではあるものの、
可能性を一つずつ潰していくくどい説明は、
論理的思考過程として必要なのでしょうが、
エンターテインメントとしてはあまり光るものを感じられませんでした。


犯人が主要人物ではないので、キャラクターがほとんど描かれず、
当然感情移入もなく、感動も少ないのですよね。
犯人に深く同情し、尊敬までしますが。


どちらかというと警察と検察によるリアルな捜査を追っていく、
硬派な警察小説的な風味が強いのかなと思いました。
警察・検察と探偵が、まだ信頼関係が築けていないこともあって、
互いに牽制し合って、独自に捜査活動を行うところなど面白いです。

だが、しかし、探偵がいくら元役者だからと言え、
完全に他人になり切れるてしまう変装術を持っているという
非現実的な設定はいかがなものかと思いました。
しかも、その変装術が大筋に影響を与えるでもなく、
結局のところ爺さんが周りを驚かしたかっただけという・・・
なんともオチャメな爺さんだとも、さすがの役者魂だとも言えなくはないのですが、
硬派な作風が崩れ、なんとなく中途半端な感じがしてしまいました。


まあ、本作は設定編的な位置づけと考えて、
評価の非常に高い次作に期待します。


Xの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
by camuson | 2014-08-16 13:04 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
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