書籍
2015年発表。
原題は「Performing Under Pressure:
The Science of Doing Your Best When It Matters Most」
邦題は、キャッチーな反面、自己啓発本にありがちな安っぽさですね。
内容は、プレッシャー下におけるパフォーマンスに関する
科学的な実験結果や知見を集めて、
プレッシャーに打ち勝つための対策を見いだすというもので、
プレッシャー研究が一つの学問領域たりえると思わせるものです。
邦題にも科学の文字を残すべきでした。
具体的には、
短期的な取組として、22種類の即効性のあるテクニカルな対症療法を示すとともに、
長期的な取組として、COTE(後述)の鎧を身に付け、
プレッシャーに打ち勝つライフスタイルを獲得することを提唱しています。
ここでいうCOTEとは、
プレッシャーに打ち勝つために欠かせない4つの要素である
Confidence(自信)、Optimism(楽観性)、Tenacity(ねばり強さ)、Enthusiasm(熱意)
の頭文字を並べたものです。
人間、不安からは、目をそらして、逃げてしまいがちですが、
きちんと目を向けて、課題を可視化して、
前向きに取り組んでいくことが大切なのだなと感じました。
化学的な緊張のメカニズムであったり、
進化論的に、古代において緊張のシステムが自然淘汰を勝ち抜いてきたことなどが、
随所で触れられるのですが、
その詳細については、あまり体系的に説明されていないので、
良い参考書があれば読んでみたいなと思いました。
蛇足
陽気で自己主張の強い外人(主にアメリカ人)は、
緊張などしないと思っていた時期が俺にもありました。
そのアメリカで緊張に関する研究がなされているのですから、
人間誰しもがプレッシャー下では緊張するということです。
ただ、ネットなどで調べるに、
緊張を抑制する効果のあるセロトニンの分泌量を決める遺伝子があり、
統計的にアメリカ人の方が日本人よりもセロトニンの分泌量が多いとのことです。
スポーツでは、姿勢や体の使い方を直接的に指導されるより、
比喩表現で指導された方が、プレッシャー下での変化が少ないという
実験結果が得られているのことです。
これは、我々のへたれテニスにも応用できそうです。
チェックポイントが多すぎて、カクカクしながらサーブしている人を思い出しました(笑)
それよりは流れるようなイメージが大切ってことですよね。
プレッシャーなんてこわくない 誰でも本番で勝てるメンタル強化術 (早川書房)