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2016年11月13日 21:00~21:50放映。
とても話題になっていたので、遅ればせながら録画を見ました。
作品よりもパヤオ本人を見るほうが楽しそう。
あくまで遠目に見てる分には。という条件付ですが。
●前置き
ちなみに私は、宮﨑映画は「紅の豚」まではほとんど見ましたが、
それ以降の作品はまったく見てません。
時間が取れれば「千と千尋」くらいはと思いつつ、
ズルズルと見ないまま、生きてきてしまいました。
中学生の時、リアルタイムで「風の谷のナウシカ」アニメを見て、
その世界観、メッセージに感動し、
その後大学生くらいの時に漫画を購入し、
アニメ版はごくごく一部であることを知り、その壮大な物語に感動したのですが、
その後の作品で「風の谷」を超えるものがなく、
後年になるほど、驚きが少なくなって、もういいやと。
「風の谷」の続編、もしくはリブート作品が出るなら、必ず見るつもりですが。
●3DCGへの挑戦
前置きが長くなりましたが、本番組についてです。
現役引退した宮﨑駿に密着したドキュメンタリです。
宮﨑駿が暇を持て余しているところに、
鈴木敏夫かなんかが新鋭のCGクリエーターを紹介して、
「毛虫のボロ」の短編映画をつくる気を起こさせます。
クリエーターが試作した3DCGの毛虫モデルを見て、
これは行けそうだ、面白いと新しい挑戦に乗り気になります。
しかし、いざ始めてみると、
物理的な嘘を描けない3DCGの表現に満足がいかず、
卵から毛虫が生まれる冒頭シーンにダメ出しを出し続けます。
●人工知能を使ったCGのデモ パヤオ激高 どわンゴww
毛虫の表現で悩んでいる中、
ドワンゴの川上量生が、人工知能を使って、
人間が想像し得ない動きをつくり出すことができるというデモをします。
人型モデルを、歩くという概念が無い状態から
人工知能に学習を重ねさせて動かしていると思われます。
床をのたうちながら移動する様が気持ち悪く、
ゾンビの動きなどに使えると説明するのですが・・・
これに対して、宮﨑駿が、
「障害者の友達を思い出してしまい面白いとは思えない。
人の痛みなど何も感じていないのだろう。
生命に対する侮辱を感じる。
これを自分の仕事につなげたいとはまったく思わない。」
というような場が凍り付くようなダメ出しをします。
これに対してドワンゴの川上はシドロモドロ。
いやぁ~
NHK的には、本当にオイシイ場面が撮れてしまいました。
テレビ的には、ドワンゴ側がものすごく格好悪いようなことになってしまいましたが、
(実際、怒られた後の受け答えが格好悪いのですが・・・)
宮﨑駿を怒らせたという時点で、
見たものに不快な感情を起こさせたという時点で、
表現としてはむしろ成功しているのですよね。
ホラー作品に対して、生命を侮辱しているとか言う方が、
どうかしてるという話ですし、
一般人の感想ならともかく、
表現者としてはどうなのかなと思った次第です。
●何回目?の引退宣言撤回
で、生命に対する侮辱に触発されたのか、どうなのかは謎ですが、
引退宣言したはずの宮﨑駿が、
長編アニメ映画の企画書を作成し、
鈴木敏夫に手段は問わないから金を集めてくれと頼む、
というふうに続きます。
鈴木敏夫の「宮さんが途中で死ねば売れるだろうな」という皮肉は、
なるほどそのとおりで、面白いこと言うなと思いました。
終わらない人 宮﨑駿。
遠目に見てる分には、面白いです。いろいろと笑えます。
蛇足
ナレーションをトトロの女の子の声優?がやってるのですが、
かなり鬱陶しく感じてしまいました。
内容的に子供が見る番組じゃないのでミスマッチだと思いました。
<参考>
岡田斗司夫のレビュー:
https://www.youtube.com/watch?v=lXQg7Wysido(感想:さすがに、宮﨑駿をよく知っているし、的確です。)
山田怜治のレビュー:
https://www.youtube.com/watch?v=2tV4dm2cPMk(感想:酒が入ってそうなハイテンションなノリ、業界チックな表現はヤな感じですが、
言ってることはわかります)
???:
めっちゃ怒られているのがテレビで放送されてしまった (2019.9.26)
久しぶりに自分の文章を読み返してみました。
今改めて考えるに、
宮﨑駿の「生命に対する侮辱を感じる。」という発言に対しては、
自分の物の見方だけが正しいと考えて感情的になる傲慢さと、
”科学に対する侮辱”を感じてしまいます。
例えば、外科医が手術をする際は、医者は患者(対象)を、
まずは、科学的に”物体”、”現象”として捉え、
感情を抜きにして客観的な立場から最善を尽くすからこそ、
プロフェッショナルとして意味があるわけです。
医者同士が技術や知識の向上をめざして内輪の勉強会をしてるところで、
「患者を物として扱うなんて。血も涙もないのか!」
といきなり罵声を浴びせているようなものなのですよね。
どちらが侮辱的と考えるかは、おそらく人によるのでしょう。
ただ、あの場の関係者にとっては、あまりに想定外で、
でも、深い考えのない感情論としては十分理解できるのと、
大御所に対して、おまえ場違いだぞと言えないある種の優しさ、甘さゆえに、
対応がグダグダになってしまったというところだと思います。
番組を見る範囲では、宮﨑駿に批判的な意見を持ってしまうものの、
深く考えるほど、番組編集の恣意性が顕在化してきてモヤモヤが残りますね。