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2018年 01月 22日
半落ち 【印象度:80】
2002年発表。

2011年の12月に文庫版を購入していたようですが、
紙媒体では読む時間がまったく確保できないので、
電子書籍版を買い直して一気に読了しました。



ぐいぐい読まされてしまいました。
扱っているテーマは深いですが、
無駄を省いてスッキリまとめているので、一気に1日で読了できます。

アルツハイマーに苦しむ妻を殺害した現役警察官の、
殺害後から自白までの空白の2日間の謎を巡る騒動を
①警察官、②検事、③新聞記者、④弁護士、⑤裁判官、⑥看守
の6人の視点を借りて描写し、最後に謎が明らかになるという構成です。

複数の視点を繰り返す手法は多くあると思いますが、
本作では、視点が一度移ると、二度と同じ人の視点に戻りません。
そのお陰で、各章の密度が高く、
散漫になることなく、スッキリと整理されていて、
テーマが深い割に読みやすい印象です。
その分筆者は苦労したと推測します。

一般人はなかなか伺い知ることができない前述6つの職業人たちの実像。
事件に巻き込まれ、それぞれの職域で苦闘し、
職場を離れた生活においても、また別の苦悶をし、
と、ちょっと昭和を感じさせるような男の働きっぷりと、
人間臭さが迫力を持って描かれています。

かくのごとき、話の傍流部分である社会描写、人間描写については、
とても優れていると思いました。
一方で、話の本筋部分、最後のオチは今ひとつだと感じました。

まず、妻の殺害方法ですが、一種の尊厳死だと解釈すれば、
当然安楽死という選択肢が浮かぶはずなのですよね。
1日2日を争って殺害する動機がまったくないのですから。
衝動的に首を締めて殺してしまったとすると、
冷静で温厚な犯人像とどうもうまく重ならないのですよね。

衝動的に無計画に殺害してしまったからこそ、
空白の2日間が生まれることになるので、そこは外せないとなると、
ちょっと無理筋だったのかなと思ってしまいます。

あと、オチについてですが、
犯人があと1年生き恥を晒そうとした答えとして、
ちょっと弱すぎると思いました。
おそらく科学的知見や統計などを踏まえつつも、
事務手続き上、エイヤで区切っただけの閾値ですよね。
死よりも苦しい生と引き替えにできるような代物なのか甚だ疑問です。
今調べてみると55歳になってますし。高齢化が進めばこの先もわかりませんし。
そもそも同じ型でより健康な人が登録してたら意味なくね?という問題もありますし。
さらには、部位を限定する必然性も薄く、
他の部位まで考慮すれば閾値も異なってくるでしょうし。


プロフェッショナルな男達の群像劇としてヒリヒリし、
サスペンスとして最後までワクワクしましたが、
ミステリとしては、食い足りない感じがしました。


読んだ後に、北方謙三や林真理子が、
直木賞選考時に騒いだという件について確認しましたが、
そこかよって感じでした。
百歩譲ってそうだったとしても、作品の欠陥じゃなくて制度の欠陥じゃないすか。


半落ち (講談社文庫)
by camuson | 2018-01-22 21:02 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
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