旅・散策
柏の葉界隈(その1:さわやか編)の続編です。
時に、2006年10月28日(土)。
(その1)における、さわやかな気持ちを若干引き摺りつつ、東京大学柏キャンパスへと向かう。
入口には「東京大学柏キャンパス一般公開」ののぼりが立っている。
キャンパス内に足を踏み入れると、スーツを身にまとった男たち5~6人に行く手を阻まれる。
交通誘導員(おそらく大学職員)だ。柏駅から来た臨時往復バスが敷地内に停まっている。
対外的に本格的な行事らしい。それにしても交通量に対して交通誘導員が多すぎる。
人の流れに乗って「基盤棟」と呼ばれる施設に入り、パンフレットをもらう。
写真:基盤棟
パンフレット裏面はスタンプラリーの台帳になっており、スタンプ獲得数に応じてオリジナルグッズがもらえるらしい。子供対策もぬかりない。
閉会まで1時間もないので、急いで実験棟方向へ向かう。
(1) 極超音速熱風洞実験新領域創成科学研究科基盤科学研究系 極超音速熱風洞実験棟にやってくる。
実験棟の入口のところでは、手作りロケットを飛ばすような実験に子供やその母親が群がっていた。
それを横目に、風洞実験装置を眺めていたら、研究室の大学院生らしき人が装置の説明をしてくれた。
写真:風洞実験装置
何でも、ジェット機等の気流解析のために、超音速(マッハいくつか忘れた)の気流を作り出す装置だそうで、
パイプの途中に、砂時計のくびれのように細まった箇所(ノズル)があり、高圧の空気がノズルを通過した後、圧力が解放されると爆発的に超音速まで加速されるとのことである。
写真:ノズル(装置とは別に展示されたているもの。片側から除くと、孔は中央部で1cm程度にまですぼまっている。)
この超音速の気流の中に、例えば飛行機の翼の模擬体などを入れて、衝撃波の性状を解析するようである。
時間がないので次に進む。
(2) 高温超伝導実験こちらはそれほど大がかりな装置ではい。高温超伝導の実験装置ということで、地球儀が宙に浮いていた。やはり学生から一通りの説明を受けた。
もう閉会の時間も過ぎているようだが、次に進む。
(3) プラズマ核融合実験なんだか、物々しい実験装置が目を引く。
写真:プラズマによる核融合実験装置
中央の釜でプラズマを発生させ核融合を起こすのだろう。
制御やセンサー類のケーブルが無数につながっており、これぞ実験装置という感じ。
こちらは、耳に長いピアスを通した兄ちゃんが説明してくれた。
最終的な利用用途は発電等のエネルギー利用のようだ。
一通り説明を聞いた後に、「ところでプラズマって何ですか?」と聞いてみた。
「おっ、いい質問ですね」と言われてしまった。
何でも、固体、液体、気体という物質の三態に続く、四態目が「プラズマ」らしい。
彼は大学院生で、実験で取得したデータの解析をやっているとのことである。
まだ誰も測定をしたことのないものを測定・解析しようという試みで、
現時点では、測定装置の製作と、測定データの妥当性の検証の繰り返しのようである。
私も分野は全く違うものの、大学の研究室では、同じように測定装置の製作とその検証からやっていたので、苦労話は実感できたし、親近感を持てた。
ピアスの兄ちゃんが実験に失敗して、柏市や首都圏が消滅するようなことがないよう、
みなさん一緒に祈りましょう!(笑)
外は暗くなり、見学者もほとんどいなくなっていた。帰宅の途に着くこととする。
たまたま公開していて、たまたま寄ったわけだが、結構楽しめた。
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さて、今回、学生達の積極的に説明しようという姿勢が強く感じられた。
実は2つめの高温超伝導実験の説明を聞いている時に、
息を切らせて入ってきた学生が、今日まだ一度も説明してないから、
自分にも説明させてくれという。
「いや今聞きましたから(おっ、お前、なんやねん!今聞いたっつの!)」と断った。
説明することに何らかのインセンティブが与えられていたのかなと邪推してみる。
例えば、説明、質問、その回答についてのレポート提出等が課せられているとか。
いや、悪くないと思った。お蔭でいろいろ話が聞けて、学生時代を思い出したよ。
スタンプラリー、アトラクション的な実験、学生の説明と
見てもらうために工夫してる感があり、好感が持てる一般公開であった。