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2005年 09月 04日
姑獲鳥の夏 【印象度:86】
1994年発表の日本の小説。
友人から借りた「姑獲鳥の夏」を読了。
実は借りたのが6月末なので2ヶ月以上かかった。
空いた時間に少しずつ読んだので忘れてしまっているところも多く
読み終わったあと一気に3日間くらいで再読した。

さて、今回は読み終わった直後の素直な感想を、思いついたまま書いてみた。
深い考察はさておき、第一印象を忘れずに残しておくため。



まず、読み始めてすぐ、京極堂による認識論のようなもの、脳と心と意識の関係等、
が展開され否が応でも興味をそそられる。
(本腰入れて読まねばなと思いつつ、まとまった時間がとれず長くかかってしまった・・・)

とにかく、作者は学問、薀蓄を相当数動員して一見荒唐無稽な話を
エンターテイメントに昇華することに成功している。
科学をその限界を含めてよく理解しているような印象を持った。

京極堂の台詞
「不思議なことなど何一つないのだよ」
これが本作、しいてはこのシリーズの大きなテーマなのだろう
(たぶん。まだ本作しか読んでないが・・・)

京極堂は「かなり大幅な省略と割愛をして、ときには大変な飛躍や誇張を加え」(P105)
世の中では不思議とされていることについて説明を試みるが、
これが非常に理路整然としていて頭にするすると入ってくる。
対象をモデル化したり仮説を立てて論考を進めることはまさに科学的手法といえる。
現代の科学では実証不可能な仮説であったとしても。

この作品は関口の第一人称視点で書かれているところがトリック。
榎木津、京極堂の浮世離れっぷりに隠れてしまうが(これもうまく計算されている)、
関口自身も相当な奇人であることが垣間見られる。
榎木津、京極堂ともに一番の奇人は関口であると口をそろえて言っているし。
学生時代の鬱病、二重人格?、癲狂院、失語症、母から折檻を受ける夢にうなされる、
涼子との関係の記憶を喪失する、等、精神が相当に脆弱な人物像が浮かび上がる。
本作では関口自身の謎はほとんど解明されないまま残されており、
今後のシリーズではどのような展開となるかが非常に楽しみだ。

私はすんなりと関口に同化できたのだが他の読者はどうなのかな。
京極堂が作者の陽の分身であるとすれば、関口は作者の陰の分身なのかなと邪推してみたりした。

特に闇の描写がいい。

細かい話ではあるが、生物の目的を論考するくだり(P226)で
京極堂が「種の保存」という言葉を使う。
私の頭の中にはドーキンスの「利己的な遺伝子」論があるので、
この「種の保存」という言葉に対してちょっとした拒絶反応があった。
「種の保存」という考え方をとると、自然淘汰による「種の進化」がうまいこと説明できなくなる。
詳細は省くが、これを「遺伝子の保存」に置き換えれば、明らかな矛盾はなくなり、
しっくり説明できるというのが利己的遺伝子論である。

昭和27年の時点で、ドーキンスはまだ少年であった。
当然「利己的な遺伝子」は発表されていないので、京極堂が知らなくてもこれまた当然である。
そこまで計算していたのかな。

とにもかくにも京極夏彦恐るべしである。

姑獲鳥(うぶめ)の夏 (KODANSHA NOVELS)
by camuson | 2005-09-04 12:45 | 書籍 | Trackback | Comments(1)
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Commented by camuson at 2006-01-21 12:05
自己レスですが一言。京極のこのシリーズは、ジャンルでいえば「ミステリーもの」「怪奇もの」になるでしょうか。中でも本作は「妊婦もの」に該当しますので、このブログを読まれている全国100万人の妊婦の方々には、正直お薦めできません!! かわりに |・∀・)つ[たまごクラブ]
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