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2010年 05月 30日
素晴らしき哉、人生! 【印象度:85】
1946年のアメリカ映画(モノクロ)。レンタルDVDで観ました。

冒頭、銀河系同士が、主人公の命運について会話するシーンが、とても斬新です。
この掴みで、コメディとして安心して作品を楽しむことができました。

タイトルからしてストレートですが、中身も名前負けしていません。
もうわかったって言ってるのにゴリゴリ来るところもありますが、
「かけがえのない人生」について、ここまで分かり易く、力強く示されると
なかなか、すがすがしいものです。

主人公が存在する現実世界と、主人公が存在しない"if"の世界、パラレルワールドとで、
目に見える違いが幾つもあったことは、主人公の「素晴らしき人生」を証明するものです。
凡人がいなくなったところで、世界は何も変わらないであろうこと、若干、心に染みます。

コメディーとして楽しい仕掛けも盛りだくさんですが、
パーティー会場の床が開いて階下のプールが出てくるシーンが好きです。
見てて心が躍りました。

廃墟での祝宴もなかなか素敵です。
蓄音機でレコードをかけつつ、そこからベルトで動力を取って、
鶏肉を回転させて暖炉で丸焼きにするなんて、とても楽しげですよね。
この演出のために、奥さんは、蓄音機のモーターをパワーのあるものに交換するなどの
魔改造を行っているはずです。技術部所属でしょうかね。

素晴らしき哉、人生! [DVD] FRT-075
by camuson | 2010-05-30 21:47 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2010年 05月 26日
ロフト. 【印象度:80】
2008年のベルギー映画。レンタルDVDで鑑賞しました。

マンションの最上階にあるおしゃれ空間(ロフト)を、
マンションをデザインした建築家と知人達(既婚男性5人)で共同所有し、
各々が好きな時に浮気部屋として活用しておりました。
ある日のこと、ベッドの上に女性の変死体が発見されました。

一応ここで念を押しておきますが、犯人はお塩先生ではありませんよ?
(懐かしいなぁ。学、可愛いなぁぁ。)

部屋の鍵を持っているのは5人だけなので、
お互い疑心暗鬼にならざるを得ません。
その一方で、浮気がばれると家庭崩壊する
というリスクを共有していることから、
そのまま警察には通報せずに、色々と画策・事後工作することになります。

画策・工作の合間に、事件に至るまでの回想がはさまり、
5人の人となりや、みな綺麗な奥さんがいることなどがわかってきます。
これらの奥さん達が、それぞれ魅力的なのにもかかわらず、
短い出番で、夫を萎えさせるオーラを十分に発しているところが、
いい演出だなと思いました。
浮気相手との完全対比によって、
浮気相手の魅力ムンムンが引き立つとともに、
妻達の陰謀論が出てくるなど、後の展開にも効いてくるように思います。

浮気現場である、ロフト、バー、ホテル、パーティー会場など、
生活臭が一切しない洒落た空間のシーンが大部分ですが、
警察の取調室まで、おしゃれ空間風になっていて、
そこまで徹底するなら、大いに許すという感じです。
オープニングクレジットから舞台となるロフトの
鋭角的なデザインがフィーチャーされるなど、
現代風建築空間へのこだわりが感じられ、
それがそのまま映像美として具現されています。

終盤には誰もが驚くサプライズ展開がありますが、
だまされた感はあるものの、あまりインパクトを感じませんでした。
建築家に感情移入できれば、感じ方も随分変わってきそうですが。

浮気もまた人それぞれというところを丁寧に描いていて、
会話の駆け引きなどが面白いので、
最後まで飽きることなく見ることができました。
安易なドタバタに走ることなく、
じっくり静かな展開としたことに好感が持てました。

ロフト. [DVD]
by camuson | 2010-05-26 20:22 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2010年 05月 24日
彼岸花 【印象度:90】
映画ファンとか、そういうんじゃないので、
小津作品をちゃんと通して見るのは初めてです。
1958 年公開の小津映画初のカラー作品。

夜中の1:00からの鑑賞だったので、
途中で眠る可能性が高いと思っていたのですが、
そんなことはまったくなく、
とても楽しい2時間を過ごすことができました。

ありふれた日常の中に、人の営みの不思議さ、おかしさを見出す眼力。
それを素材にして、エンターテインメントとして成立させ得る、緻密な構成力と手腕。
さすがです。

全篇を通して、軽妙で、押し付けがましくないユーモアにあふれていて、
さわやかな気分になりました。
(レンタルDVDで鑑賞)

彼岸花 [DVD]
by camuson | 2010-05-24 01:07 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2010年 05月 21日
9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~ 【印象度:87】
昨日会社帰りに池袋HUMAXシネマズで観てきました。
エレベータに乗り合わせた5~6人は私1人を残して、
アリス・イン・ワンダーランドをやっている6階で降りて行きました。

結構空いていました。20人くらいだったでしょうか。
席は自由なので、普段あまり座らない後ろの方にしてみました。

後ろの席は、画面の視野角は狭くなりますが、
劇場空間のボリュームを感じることができるので、これもいいかも。

などと思いつつ鑑賞していたところ、途中から入ってきた若い男2人が、
私の席のまん前に座ったのでびっくりしました。

こういう事故に会う可能性を考えると、やはり前のほうに座った方が良さそうですね。
危機管理意識に欠けていたと、後悔しきりです。


さて、前置きが長くなりましたが、作品の感想です。

手づくりの風合いを生かした、繊細で、静かな作品なのかなと、
観る前は想像していたのですが、
人形のとぼけた雰囲気に似合わぬ、手に汗握る激しいアクションの連続で、
いい意味で裏切られました。

非常に緻密で洗練された職人芸術的造形。
質感重視の光量を絞った陰影の深い絵づくり。
それでいて大胆で切れのあるキャラクターやクリーチャーの動き。

これらの「謎の技術」により、
完成度の高いファンタジー箱庭世界が構築されていて、
序盤からぐいぐい引き込まれます。


ストーリーは一本調子で大きな感動があるわけではないですが、
映像の力だけで、押し切ってしまえるのは逆にすごいなと思いました。
by camuson | 2010-05-21 21:05 | アニメ | Trackback(7) | Comments(0)
2010年 05月 16日
es[エス] 【印象度:70】
2001年公開のドイツ映画。レンタルDVDで鑑賞しました。

1971年にアメリカはスタンフォード大学心理学部で行われた監獄実験を素材として、
エンターテインメントへの昇華を狙った作品です。

実験の内容は、新聞広告で集めた被験者を看守役と囚人役に分けて、
2週間の期限で、模擬刑務所でそれぞれの役割を演じさせ、
心理や行動にどのような変化が発生するかを監視カメラで観察するというものです。

主人公の新聞記者は、ネタ欲しさに、この実験の被験者に応募し、
囚人役として実験に参加するのですが、こいつが非常に曲者です。

ネタ欲しさからなのか、真性のバカなのか、看守に対して挑発的な態度を取り、
看守チームvs囚人チームという意識を煽ってしまいます。

これによって、ただでさえあやしい実験の学術的な意味合いが、
更に薄まったように感じられ、
教授が貴重な実験データなどと言っているのが、まぬけに聞こえてしまいます。

2日目には完全に看守と囚人が敵対するようになり、
そこからは、あれよあれよと、狂った方向に進んでしまうのですが、
被験者達は随時監視されているにもかかわらず、
人前で感情的になることへの羞恥がほとんどないので、
あまり現実味を感じることができませんでした。
(文化的な背景の違いによるものかどうかは興味があるところですが)

被験者の心理変化をもっとじっくりと見せて欲しかったですね。
教授や助手による学術的な解説なども付け加えて、
被験者の心理変化や行動に説得力を持たせれば、
もう少しリアルに感じたかも知れませんね。

es[エス] [DVD]
by camuson | 2010-05-16 21:19 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2010年 05月 14日
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 【印象度:89】
1997年のドイツ映画。レンタルDVDで見ました。
病院で余命を告げられた男二人が、死ぬまでに一度海を見ておこうと、
車を盗み、金を盗み、警察やギャングの追跡をかわしつつ、
突き進むロードムービーです。

非常にシンプルな筋書きですが、コミカルな味付けが絶妙です。
物語の推進力を失わずに、小技が小気味よく決まっていく感じです。

ニヤけぎみの警官のオッサンやギャング2人に代表される、
異色のキャラづくりも魅力です。

トウモロコシをなぎ倒しながらのカーチェースは、
死ぬまでに一度は経験したいと思ってしまいました。

ギャングのラスボス登場のシーンだけ英語になるのですが、
ドイツ人に通じるものなんでしょうかね。
ルトガー・ハウアーがドイツ人じゃないので苦肉の策だと思いますが。

映画本編は文句の付け所がありませんが、
主役二人が葉巻を吸っているジャケットの写真は今ひとつですね。
もうすこし凛々しい表情の方が良かったと思います。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア (デジタルニューマスター版スペシャル・エディション) [DVD]
by camuson | 2010-05-14 12:48 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2010年 05月 11日
空中ブランコ 【印象度:85】
2010年のアニメ作品。
先日Blu-ray Disc第4巻(最終巻)が発売されたので購入して視聴を終えたところです。
原作は未読、テレビドラマや舞台は観ていません。

本作品は2009年秋のフジテレビのノイタミナ枠で放送されています。
フジテレビの資本が結構入っているようで、福井アナも実写で登場します。

実写と手描きを融合した実験的な作品で、
主役の顔が、シーンによってその声を当てている声優の顔(実写)に切り替わります。

空中ブランコという作品自体は、ドラマや舞台等、
すでに他のメディアで展開されている有名作品なので、
こういった一風変わった企画を織り込んだことは非常に良かったと思います。
同様の企画が他の作品で成立するとは、とても思えず、
機を逃さずに実現したことを評価したいですね。

サイケデリックな色彩が特徴的ですが、
現代人の精神の病がテーマなので理由が付きますし、
このまがまがしい色調がベースにあるので、
実写と手描きの不連続がさほど気になりません。

主役の伊良部を大・中・小の3つのキャラクターに分割したのも、面白いと思いました。
いろいろと新しいアイディア、試みが盛り込まれていて、
創っている人たちも、その過程がさぞ楽しかっただろうと思います。

全11話の中で一番好きなのは、第2話の櫻井孝宏の回ですね。
最後の台詞は心にじんと響きました。
この回を見て購入を決めたのですが、最後までこれを超える回はありませんでした。
とはいえ、各話、ハズレはないと思います。

オープニング、エンディングは両方とも電気グルーヴの曲で、
特に、話のオチから爽快感のあるエンディング「Shangri-La」、
次回予告の流れがいいですね。
電気グルーヴは特に好きというわけではありませんが、
うまく使ったものだなと思いました。


特典映像として、定番の声優によるコメンタリーがないのですが、
本作品こそ、顔を出して演じた声優の感想が聞きたかったですね。
その代わりに、声優によるちょっと恥ずかしい朗読があるのですが、
これは逆にいらなかったです。

空中ブランコ 初回限定生産版 第1巻 [Blu-ray]
by camuson | 2010-05-11 22:48 | アニメ | Trackback | Comments(0)
2010年 05月 10日
CURE 【印象度:70】
前半に出てくる精神科や内科の診察室の空間の余り方が、
無機的で殺伐としたイメージを増長していて面白いのですが、
横長な舞台のセットのようにも見えてしまう諸刃の剣。

手持ちビデオカメラでの撮影で画質が悪いのは、予算もあるのでしょうが、
余り構えずに、日常の中の殺伐とした感じを出すのも狙いだと思います。
後半の廃墟などは幻想的なので、綺麗な画質で見たくなりますね。

もし、「この人、邪魔だな」という感情を抑えることなく、
そのまま、邪魔なものを排除する日常行為として殺人に至るとしたら、
一体どんな感じなのか?
という、描写部分が面白く、最後まで飽きずに見られました。

どうしてそうなったかというストーリー部分は、さほど興味が持てず、
実際、あまり面白いとも思えませんでした。
シーンを展開させるのには当然必要な部分ですが。

終わり方は思わせぶりで、面倒くさいことするなぁと思いました。

怖いかどうかですが、
被害者側の恐怖に共感する一般的なホラーの恐さとは全く違ってますね。
私はあまり怖いとは感じず、どちらかというと面白かったという感想です。
(レンタルDVDで鑑賞)

CURE キュア [DVD]
by camuson | 2010-05-10 20:51 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2010年 05月 05日
本陣殺人事件 【印象度:50】
1975年の日本映画。
横溝正史の金田一耕助シリーズ第一作の映画化作品。
DVDレンタルで観ました。原作小説は未読です。

35年前の映画ですが、あまり古臭い感じはせず、きれいな映像でした。
前にテレビ版(1977年版)を見たことがあるのですが、それに比べると、
映像へのこだわりが見られ、映画らしい作品となっています。

しかし、いかんせん、シナリオにインパクトがないのは否めません。
このシリーズの一番の売りであるオドロオドロしさがまだ確立されていないようです。
旧家に澱む陰鬱な歴史や、見立て殺人などによる猟奇性が見当たりません。
キャラもあまり立っていなくて、
何より殺人の動機に共感できないので特に感動もありません。
トリッキーな密室づくりも、そんなうまくいくかよという感じで、
見ようによっては拙く思えてしまいます。

しかし、上記以外は、よくまとまった作品だと思いました。

金田一役を中尾彬が、ジーンズのチョッキと、
やたら襟の大きなシャツを着て演じているのも注目です。

本陣殺人事件 [DVD]
by camuson | 2010-05-05 23:59 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2010年 05月 04日
狼と香辛料 【印象度:75】
2006年発行の日本の小説。

導入部がいいですね。
すんなりと中世の農村に、古来伝わる風習の景色の中に入り込むことができます。

貨幣経済がある程度発達して、農村の作物を行商人が買い付けに来るような時代。
農業技術が発展の兆しを見せて、豊作の神がないがしろにされ始めた時代。
行商人と豊作を司る狼の化身との旅物語です。
狼の化身以外にはファンタジー要素はなく、地に足の着いた世界設定です。

シリーズものの第1巻としての位置づけで、本作では通貨に含まれる銀の純度と、
通貨への投機が大きなテーマになっています。

当時の商人が、生きるための知恵として身に付けていそうな考え方などが、
それらしく丁寧に描かれているので、読んでいて充実感が得られます。

後半に、どたばた逃亡劇が延々と続くのは、ちょっと余計で、
作品自体が水増しされて純度が下がった感がありますね。

最後のオチは悪くなかったので、多少持ち直しました。

狼と香辛料 (電撃文庫)
by camuson | 2010-05-04 15:32 | 書籍 | Trackback | Comments(0)