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2024年 01月 13日
光秀の定理 【印象度:60】
書籍
光秀の定理 【印象度:60】_e0020682_17020820.png

2013年発表の歴史小説。kindle。

序盤の主人公は、光秀ではなく、
京で名を成そうとお上りしてきた架空の若き剣術家。
導入部からいきなりこの剣術家の視点で微細に描写される
室町時代末期の荒み切った京の都の風景に、
一気に作品世界の中に引き込まれました。
(通りや大路・小路の名前が詳細に記されているので、
 地図で位置を確認しながら読み進めました。
 次に京都旅行する際に聖地巡礼的な楽しみが増えそうです。)

序盤は、この剣術家と、架空の破戒僧が、宮本武蔵ー沢庵和尚の関係よろしく、
わちゃわちゃしているところに、ちょろっと光秀が絡んでくるような展開で、
面白いんだけど、さすがに光秀の出番が少なすぎだろという感想。

光秀が主人公になるのは、中盤以降。
第13代将軍義輝が松永・三好に討たれた(永禄の変)後から自体が急変し、
後に第15代将軍足利義昭となる覚慶の救出、
その後、信長の家来になって、六角氏の居城琵琶湖南の山城を攻略するまでが描かれます。
ふんだんに織り込まれたフィクションの中でも特徴的なのが、
数学の確率問題を絡めているところです。

終盤。
光秀が六角氏の山城を攻め落とす際に、
四つの山道の中にある一つのアタリ(敵兵が配備されていない道)を高確率で選ぶには?
という序盤の破戒僧の賭けの必勝法の類似問題が出題されたときには、

 なるほど~!忘れたころに、条件を変えたひっかけ問題を出してくるとは、
 味なまねをするものだなぁ~
 かなり強引だけど、ここまでひねってくるなら、許せてしまう。
 これは傑作に違いない!

と、一気にボルテージが上がりました。

そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。


だが、しかし・・・
先を読み進めてみると・・・

「最初に有利と思って選んだ道の方が多少なりとも分がある。初志貫徹すべし。」
といったふうな期待していた解答は得られず。まったく逆の解答を見る羽目に。

こともあろうか、自分で作成したひっかけ問題に、
作者自らが引っ掛かって、間違えた解答を導くという
悪夢のような展開が待ち受けており、
先を読み進めるモチベーションが急速に萎んでしまいました。

うーん。この致命的なミスを除けば、非常によくできた作品だったので、
とにもかくにも、もったいないことをしてしまったなと。
強引に持ち込んだフィクション設定だけに、
さすがにやってはいけないミスだと思いました。

とはいえ、誰にでもミスや思い違いはあるものなので、
ミスをした個人を厳しく攻め立てるのも気の毒だなとも思います。

むしろ、編集者など出版に関わる人間全員が誰一人として、
論理の誤りに違和感を感じなかったという集団的な感性の鈍麻と、
論理の正しさを検証しようともしなかったという怠惰に、
恐れ慄いてしまいました。

人一人の思い違いならば許容せざるを得ないのですが、
集団で論理的な間違いをしてしまうのは、恐怖でしかありません。
論理に多数決を持ち込み、それを正しいと思い込み、
指摘しても一切耳を貸さなくなってしまうことが多いのですよね。
困ったものです。



■本作における確率問題の誤謬についての考察

いわゆる「モンティ・ホール問題」と呼ばれる確率の問題で、
本作は4者択一のバージョンです。

(1)4つのうち1つのアタリがあるクジの1つを引く。
(2)引いたもの以外の3つのうち2つのハズレが晒される。
(3)もう1回選び直せるとして、残った2つのうちどちらを選ぶべきか。

という問題になります。

本作においては、序盤と終盤で条件の異なる確率問題が出題されます。
具体的には、上記(2)において、

・序盤の破戒僧の手口:アタリを知ってる者が、ハズレを2つ選んで晒す
・終盤の山城攻め:意図せずハズレ2つが晒されてしまう

という決定的な条件の違いがある2問で、
「なるほど、条件を変えてきたか」と膝を打ったものですが、
あろうことか、この違いをまったく考慮することなく、
同じ解答を導いてしまっています。

表層的な手法を、本質的な理解なしに適用する典型例とも言え、
別の意味で感心してしまうところもなくはないのですが…


ちなみに、なんとなく耳にしたことがあった「モンティ・ホール問題」が、
確率の問題であることを今回初めて知った私の
山城攻めについての思考プロセスをメモると以下のとおり。

・最初にアタリを引く確率は1/4。
・賭けの手口のように、中身を知ってる者が意図的にハズレを晒す場合は、
 初手の確率が変わる新たな情報は何ら得られていないのだから、そのまま1/4。
 なので、残ったもう1つがアタリの可能性は1-1/4=3/4。
・しかし今回は、意図せず2つが晒されたのだから、初手の確率に影響があるのでは。
・そう。たまたまアタリが出なかっただけで、
 アタリが晒されたとしても全く不思議はないわけだから、
 アタリを選んだからこそ、アタリが晒されなかった可能性もありそう。
・ということは、アタリを選んだ確率は少なくとも1/4よりは大きくなりそう。
・うーん。頭悪過ぎるので、頭の中だけで考えても埒があかない。
・とりあえず、手を動かして、場合分けを書き出してみよう。
・最初にアタリを引く確率は1/4。
・最初にハズレを引く確率は3/4だが、
 残った3つのうち、晒された2つ両方がハズレになる確率は1/3。
 3/4×1/3=1/4で最初にアタリを引く確率と同じ。
 ただし選択肢は4つから2つに変化してるので、双方とも確率は1/2。
・なるほど~。結果的には、残った2つから1つを選び直す場合と同じになるわけか~
 ( ゚д゚)ハッ!
 よくよく考えると当たり前過ぎて泣けてくるww
 最初からどの選択肢も同じ確率。(/ω\)ハズカシ
・結局「偶然or意図的」は関係なく、アタリを「知ってるor知らない」が分かれ目なのね。
・頭悪すぎて、当たり前な結果を得るのに遠回りしたけど、
 2つのルートで結果が合致したのだから、間違いはなさそう。
・きれいな解決。完全に納得。-完-

例えばこんな風に、手を動かす手間さえ惜しまなければ、
納得感のある解答を簡単に導ける問題なのに、
なぜにそれを怠ってしまったのか?本当に悔やまれます。

上記プロセスで、「頭悪過ぎるので、手を動かしてみよう」がポイントかも知れません。

おそらく、現象を捻じ曲げて捉える人の多くが、
「自分、頭良過ぎるので、手なんて動かす必要ないッスwwwww
 何言ってんスカww、そこに手間をかけるって、ほんっと、頭悪いんッスねwwww」
というようなメンタリティなのだと推測されます。自信過剰と怠惰でしょうかね。
(もちろん本当に頭の良い人や、普段からこの手の問題に手慣れている人は、
 遠回りする必要すらありませんが)


あともう一つの方の確率問題である、
3つのサイコロを同時に振ったときに、
どれか一つでも六の目が出るか出ないかの確率の問題
についてですが、

そんなに長い間、複数人が、悩みに悩み抜いたのであれば、
模範的で綺麗な解答に至る前に、
六の目がダブる可能性に誰かが気付くだろうにと。
(六の目が2つ出たら勝ちを2倍、3つ出たら3倍にしてやっとイーブン)
実際すべての場合分けを地道に書き出して、数を数えれば解答自体は簡単に導き出せます。
解答に対する説明づけ、ストーリーづけとして、
本作に示される綺麗なストーリー(六の目が出ない確率の3乗)のほかに、
五分五分にならない直接の原因と言える六の目がダブる場合分けを数えるという、
やや泥臭いストーリーも考えられます。
五分五分にならない具体的な「からくり」の理解が重要だと思われるので、
その直感に訴えやすい方法も示した方がよかったのかなと思います。
やたら長く悩んだ挙句、いきなり綺麗な解答に飛躍することから、
こちらの問題についても、
表層的に数式を当てはめただけのような感じがしてしまいました。
無論こちらは論理的には正しいですが。
(私は気付かなかったのですが、ネットで確認したところ、
 こちらの問題の作中解説も不適切との指摘あり。追記にて言及。)

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■蛇足的連想~「ダブル合格進学率」対決の誤謬についての考察

◇恐るべき妄信の構造について

やや強引な連想ですが、モンティ・ホール問題と絡めて、
あたかも選び直しが存在するかのような錯覚(現象の捻じ曲げ解釈)により、
妄信をしてしまう極端な例として、
週刊誌などが発表する大学受験の「ダブル合格進学率対決」があります。
こちらは確率ではなく、統計の問題になります。

あまりに滑稽で、前々から気になっていたのですが、
とはいえ、主題として扱うには、おそろしく程度の低い話でもあり、
こんな機会でもないと、誤りを指摘する機会が持てないので、
本腰入れて整理してみました。
(数学教育がほとんど機能していないことを示す集団妄信のサンプルとしては、
 妄信の内容がくだらなく愚かしいほど、価値があるとも言えるので。)


週刊誌「大学ダブル合格どっちに入学するか?」
(早稲田と慶應、両方受かったらどちらを選ぶか!ってやつです)

いやいや。
いやいやいやいやいや。
それ、本当に、本当に、本気で言っちゃってますかと。

何故に、現象のごく一部を切り取った上に、順番すらも捻じ曲げて捉えようとするのか?

<実際の現象>
「最初に、行きたい大学※1)を決めている(その後、適切な併願パターンを決める)」※2
<捻じ曲げ後>
「最後に、行きたい大学を決めている(== 併願の段階では、まだ決めていない)」

お前は、受験する大学を無作為抽出※3)で選んだ上で、
合格した後に、初めて行きたい大学を決めたのか?
と問い詰めたい。小一時間ではなく、小一生涯問い詰めたい。
(受験する大学をくじ引きで決めたつわものはその限りではありません)

※W合格進学率の正体については後述します。


受験勉強のし過ぎで、本質的な理解に時間をかけられない受験生が騙されてしまうのは、
さもありなんという気がしますし、教育の賜物であって、気の毒だとさえ思いますが、
受験産業に従事する大人が、大学の序列や魅力を示す指標のごとく扱っていることについては、
その論理的思考力の欠如・思考停止に陥る怠惰に対して、猛省を促したいですね。
マスコミによる論理の捻じ曲げが諸悪の根源というのは当然として。



※1.実際は大学というよりは、試験実施単位である学部や学科が正しいですが、
ここでは、わかりやすさのため「大学」と表記します。


※2.実際の現象の一般的なフローをもう少し解像度を高めると以下のような感じになります。
(1)行きたい大学を決める。
(2)それに応じて受験する大学を決める。複数の場合は、併願大学と進学優先順位を決める。
(3)受験する(受験しない場合もある)
(4)合格する(合格しない場合もある)
(5)合格した大学の中で最も優先順位の高い大学に進学する。
((2)に従い自動的に決まる。合格後に選んでない。例外が0とまでは言わない。)


※3.受験校選択時の作為による偏りが薄れるような場合、すなわち、
双方の大学において併願パターンやその割合が近しい場合※4)に限って、
現象を捻じ曲げて捉えても、結果に違和感が出づらいというだけでしょうに。
まあ、だからこそ気付けないのかも知れないですが・・・
無作為と言って、まず考え付くのが、
すべての大学・学部・学科の入試方法を受験するというものですが、
実質不可能なため、省きました。


※4.逆に偏ってしまう要因の最たるものとして、試験・合格発表の日程があります。
例えば、プランA大学の合格発表後は、
プランB大学の受験をキャンセルする人が多くなり、
両大学進学者に占めるW受験割合・W合格割合が著しく偏ります。
実例として、私立大学に対する国立大学のW合格進学率が高くなるのは、
広くよく知られていることです。

だがしかし・・・
併願割合の偏りの要因となるパラメーターは、
試験日程以外にも、学部学科構成、試験科目、問題傾向、受験料、受験会場、
合格難易度、校風、宗教、などなど、挙げたらきりがないくらいあるわけで、
何故に、試験日程だけが、偏りの要因として受け入れられて、
他が無視されるのかが、どうにも不可思議なところです。
一体全体、このような人たちは、現象をどのように捉えているのでしょうか?

おそらく、推測ではありますが、論理的思考力が皆無というわけでも決してなく、
現象を直視するのが面倒くさいという怠惰によるものだと思われます。
さらに、怠惰に至る構造として、
面倒臭い手間のコストに対する対価が得られないどころか、
同調しないことにより敵対視されるといったマイナス対価を被る危険性すらあることから、
生存本能として、根拠のない多数派に同調してしまうのだと推測されます。
人間の本能からくる結構根深い問題で、
無意識に思考様式、行動様式として骨の髄にまで沁み込んでしまっていて、
気に掛けたこともない少数意見に聞く耳を持つことが本能的にできなくなっているので、
本能に忠実な人ほど、修正することが絶望的に困難なのですよね。


◇「ダブル合格進学率」の正体について

いわゆる「W合格進学率対決」に関して、現象を捻じ曲げて捉えることなく、
現象をそのまま捉えて、わかりやすく言えば、
「W合格後に、どちらの大学を選んだか!」の対決ではなく、
「どちらの大学の併願受験価値(プランBとしての価値)が低いか!」
の対決となります。

よって、併願受験価値の低さを競う指標として使うのであれば異論はありません。
そんなものを比較する価値があるのかは甚だ疑問ですが(笑)
(せめて、数値を逆転させて、「併願受験価値対決!!!!」とでもしてくれれば、
 致命的・絶望的な誤謬が無くなる分、随分マシだと思います)

※データ全体を睨みつつ、部分集合をどのように説明づけるかという話で、
 説明方法はいくつか考えられるのですが、今回の説明が、
 前置きの知識などをあまり必要とせず、一番わかりやすいと考えてます。
※「併願」という言葉には、優先順位が明示されないので、
 必要に応じて「プランB」などの言い方を混用しています。
※実際には大学を3校以上受験・合格した場合の2校抽出による相対比較が含まれ、
 むしろ、そちらが主流と考えるべきです。この場合、プランCとプランFの比較でも、
 2大学間では、わかりやすさのため、プランA、プランBと捉えます。
※厳密に言えば、合格者集合に対する数値なので受験者にとっての併願価値ではなく、
 合格者にとっての併願価値であることは、頭の片隅に置いておきましょう。


☞理解を深めるための思考実験、対決シミュレーション
まだピンと来ていない方も多くいるのではないかと思います。
これから書くことについて、そんなばかなと思わずに、
できれば、最後まで、お付き合いください。
仮に「対決」という言葉にあえて乗っかった場合、論理を捻じ曲げずに、
現象をそのまま捉えれば、このような説明になる。ならざるを得ないということです。
(他にW合格進学率対決のしくみを論理的に説明したものを、
 私はこれまでに一度たりとも見たことがありません。)


W合格進学率対決に勝つということは、「W合格」という狭い土俵において、
相手大学入学者を土俵からなるべく排除し、
自大学入学者で土俵を占拠することをめざすことです。
これを言い換えると、
いかに相手大学入学者から自大学が併願・合格されず(土俵から排除する<防御策>)、
いかに自大学入学者が相手大学を併願・合格する(土俵に送り込む<攻撃策>)か、
の勝負となります。
よって、大きく分けて以下の2種類の対策が有効となります。
<防御策>相手大学入学者から見た自大学の併願価値を下げる。
<攻撃策>自大学入学者から見た相手大学の併願価値を上げる。
※防御策として自大学の合格難易度を上げるという方策もあり得ますが、
 これについては後述します。

<防御策>
相手から併願受験されない防御策として、例えば、以下のようなことが考えられます。
・入試を相手大学の入試合格発表後に実施する(”魅力ア~ップ笑”)※5
・宗教色を強く打ち出してみる(”魅力ア~ップ笑”)
・ものすごい狭い領域に特化したニッチ学科にする(”魅力ア~ップ笑”)
・第一志望以外が対策しづらい悪問を出題しまくる(”魅力ア~ップ笑”)
他にも、”魅力ア~ップ笑”な対策はいくらでも考え付きます。
皆様も、これを機会に、いろいろ考えてみてください。

※”魅力ア~ップ笑”は、その対策が「W合格進学率対決(笑)」に、
 効果的であることを、わかりやすく明示するために考案した記号です。
 特定の学部・学科等を蔑む意図はまったくありません。


<攻撃策>
しかし、確実に勝つためには攻撃策が必要です。
本来は相手に依存する相手の併願価値を、ムリヤリ押し上げてやる必要があります。
相手大学含めてW合格した場合に限り、授業料を免除する、何なら報奨金も与えるなど、
他大学の試験をも入学条件に利用してしまうという多少無理のある施策を打てば盤石です。
W合格進学対決に勝ちたい大学関係者各位は是非是非ご参考に!(笑)


さて、冗談はさておき、保留していた「合格難易度」の機能のみ※6)に着目すると、
合格難易度がより高くなると、プランBとしての価値が低くなることに留意が必要です。
(念のため、プランAとしての価値はここでは関係ないので、頭から排除してください)
さらに、それだけではなく、合格者数も低く抑えることになるため、
「W合格」という土俵侵入への二重の防壁となり得ます。
とは言え、合格難易度が高ければ、合格率が低くなるというものでもなく、
適度な倍率にバランスする傾向があることを踏まえると、
二重であることをあまり気にする必要はないのかも知れません。
曲がりなりにも「合格難易度」で測れない大学の価値を示そうと標榜する指標が、
「合格難易度」に強く影響を受けることは、注意する必要がありますね。


実例で説明した方が分かりやすいですね。
例えば、東京大学を例に取れば、日本国内だけを考えれば、
最高難易度のため、プランBとしての価値は最低。
プランBとしては、なかなか受験してもらえないし、合格もしてもらえない。
(よしんば受験してもらったとしても、合格してもらえないのが、前述の二重防壁の所以です)
ゆえに、合格難易度という一要素だけでも、W合格対決では、ほぼ最強の防御になります。
ただし、東大からみたプランB価値が多少でもある大学に対してのみ最強ということです。
それ未満の大学は、お互いプランBとしての価値が最低過ぎるため、
結果は、決着がつかず、引き分け(W受験者、W合格者が存在しない)となります。

しかし、東大がこのようなF○○○大学と引き分けることなどあってはならないことです(キリッ
このような泥仕合に勝つための方法は、もうわかるはずです(ヒソヒソ
相手大学の合格通知書と引き換えに、授業料を免除するなど、
相手大学の併願価値を高める奇策を打つしかありません(打てるかw国立がw)

価値の高さを争う一般的な対決の場合、正攻法で戦うのが大前提なものの、
どうしても勝てない相手に勝つためには、
事実無根?の悪い噂を文春に流すなど、相手の価値を低める手法も効果がありそうです(ヒソヒソ
一方、価値の低さを争う本対決の場合、どうしても勝てない相手に勝つためには、
奥の手として、相手の価値を高める一種の「ほめ殺し」が有効になる点が、興味深いですよね。
(相手をムリヤリ持ち上げることで殺すという意味での「ほめ殺し」であり、
 言葉でほめたり、良い噂を文春に流したりしても、効果はほぼありませんのであしからず。)


さて、私は今、W合格進学率のページが開かれた「サンデー毎日」が置かれたコタツを前に、
正座しています。辛うじて膝の先にコタツのぬくもりが感じられます。
木皿に積まれたミカンに手を伸ばすことなく、ページを凝視しているところです。

もとより、東京大学が素晴らしい大学であることに何ら異論を持つものではありませんが、
目の前のW合格進学率対決の数値を見ただけでは、
残念ながら、その素晴らしさや魅力を読み取ることは何一つとしてできません。
どんなに目を凝らしても、そのような情報は浮かび上がってきません。
東大だけではなく、すべての大学の対決についても同様です。

念には念を入れと思い、雑誌を手にやおら立ち上がり、1DKのDKに移動し、
ガスコンロのつまみをひねり、該当ページをその上にかざしてみましたが、
レモン汁で書かれた暗号情報などが炙り出されてきたりもしませんでした。
関係者各位の皆様には見えているものを、私が見出すことができなかったことは、
本当に残念なことであり、断腸の思いであります。 orz
(嘘をつきました。「サンデー毎日」買ってませ~ん。眺めてもいませ~ん。
 ほんとにホントに、すみませ~~んっwww)


※5.仮に、本質的に大学の魅力を向上してしまった場合に、
「W合格進学率」にどのように反映されるかのメカニズムは、
自大学のプランB価値を下げる”魅力ア~ップ笑”な対策に比べて、
かなり複雑になるかと思います。
本質的な魅力アップをしてしまうと、W合格者の土俵の外を含めて、プランA・B構わず、
全体的に受験価値が高まることになるでしょう。
すると、
・今まで自大学を併願していなかった層へのプランB価値訴求力が高まり、
 土俵に人を送り込まれる。<不利>
・一部の受験生の中ではプランA、Bの逆転が起こり、
 土俵上でも逆転(敵が減り、味方が増える)が発生する。<有利>
この差分が反映される様相になりますでしょうか?
魅力が高まると、合格難易度も高くなる傾向があるため、
そちらの影響の方が大きいかも知れません。<有利>
そこまで含めると、トータルでプラスに振れる可能性がありますね。
直接的効果に薄いことから「ゆるふわ系攻撃策」とでも名付けておきましょうか。
大学の魅力とはまったく関係ない指標とまでは言い切れないようですねっ♡
大学の魅力を測る指標としてはまったく役に立たないというだけですねっ♡


※6.「合格難易度」については、文字通りの機能の側面に加えて、
受験者による大学の魅力?を測る人気投票の結果としての側面もあるかと思います。
ここでの説明においては、複雑化を避けて、あえて、前者として扱っています。
後者も考慮すると、「合格難易度」が低過ぎても、
プランBとしての価値が下がるとも言えてしまいますが、
これについては、「合格難易度」そのものではなく、
人気の要因となる別の変数により説明されるべきだと考えます。
いわゆる偏差値信仰(「合格難易度」と「大学の価値」の絶対的な相関関係を信じる)的な、
また別の妄信にも関係する部分で、論理的で簡潔な説明に内包させたくないですよね。


蛇足の蛇足:
集団で、本質を捻じ曲げて捉え、
集団で、決して見えないはずの幻影を創り出し、
集団で、その幻影を人に押し付けるという構造は、
例えば、経済の捉え方などにおいてもアナロジーを感じてしまうところです。
おそらく社会のいたるところでこんなことが起こっているのではないかと思います。
とても根深く、とてもやっかいな問題だと思います
ホント、生きづらい世の中ですよねw(同調者超絶少数)

日本経済の現状に関する過去の参考記事:
アベプラにおける成田悠輔氏の「ひろゆき化」の件



■「手を動かして考える」ことについて(2024.01.15追記)

作品「光秀の定理」に戻ります。
実はこれまでの感想、考察等を書いた時点で、作品を最後まで読んでなかったのですが、
(作品を楽しむモチベがほとんどなくなって、苦痛な義務感になってしまって・・・)
少し読み進めると、信長が、現象を理解するために、
4者択一を、100者択一にまでに拡張して、理解に至るという
「手を動かす」のお手本のようなことをするのですよね。

パラメーターを極端に振ることで、これまでの、根拠の薄い経験則に揺さぶりをかける。
本質の理解のために極めて有益だと思われるのですが、
経験則または根拠のない感覚こそを重要視する人は、「そんな極論を考えても仕方ない」
と切り捨ててしまう傾向があるのではないかと考えてます。

極論に関しては、過去の記事で考察してますのでご参照ください。
過去記事:「極論について


で、ここでまた、作品に対する残念ループに舞い戻ってしまうのですが、
そこまで気付いておきながら、
何故に、その手法を、山城攻めの方にも適用しなかったのかなと。
そもそもの信長の関心対象は、賭け事ではなくそっちだろと。何故すり替えた。
気づきのチャンスを無意識に華麗によけていくその様に感心してしまいます。

(1)山城に通じる100本のうち、1本を選んだ。
(2)残りの99本のうち、98本が、偶然晒された。
 (偶然ではなく、アタリを知らない主体による意図的な選択でもOK)
(3)晒された98本は、なななんと、奇跡的にすべてハズレであった。
(4)残り2本のうちどちらを選ぶ?

ここまで手を動かしてみれば、
賭けの手口と、山城攻めを同じ問題として考えることに、
何らかの違和感を持つ可能性が高いのではないでしょうか?
(3)のすべてハズレを、「当たり前だろ!」と感じるか「奇跡的!」と感じるか。
結局は、アタリを「知っている」か「知らない」か。

ちなみに、数学モデル的には、どれを選んでも同じ確率ですが、
モデル化されてないもろもろを含めると、初志貫徹ですよね。
これは残り2本ではなく、残り何本でも変わりません。


「100本の山道は物理的にあり得ない!極論は意味がない!」
とか、思考にブレーキをかける「思考停止の壁」のようなものが、
存在するのでしょうかね。



●追記(2024.01.18)
読み続けるモチベがなくなっていたものの何とか読了。
剣術家と破戒僧により、光秀のその後の人生が駆け足で回想されて終了。
特に大きなイベントはありませんでした。

さて、ネットで調べたところ、サイコロの六の目が出る確率についても
本作中の解説に誤りがあると指摘されてました。
こちらに関しては、私は気付いておりませんでした。

見直してみると、サイコロが「同時に振られる」に傍点が付いて強調されていました。
たしかに、そこは、まったく強調すべきところじゃないし、ポイントがずれてますね。
おそらく、作者の頭の中で、
「絵ヅラとして3つ同時に考えた方が分かりやすい」→「同時に振る必要がある」
というような独りよがりな短絡的連想が働き、不適切な説明に至ったのかと邪推します。
順に振った場合のそれぞれの確率を「足し上げる」についても、明らかにおかしな理解で、
場合分けの数を数え上げるという概念がスッポリ抜けてしまっているのですよね。
仮に五分五分となる例を挙げたいのであれば、六が2or3つ出たらポイント2or3倍にしないと・・・
”作中の光秀の妻に、論理的説明能力・言語化能力が無かったが故であり、
作者はきちんと理解している”と捉えることもギリギリ可能(笑)いや無理かww
実際に私がスルーしてしまったのも、
説明は判然としないものの、よもや間違える余地などあるはずもないという油断と、
わけのわからない説明の前に、まずは、六の目がダブることに気付くだろうにと、
集中力をそっちに持っていかれたことがあります。
今考えればかなり軽率でした。作者がこんなところでも、やらかしをしてるとは(笑)
こちらの問題では、作者による「やらかしひっかけ」にまんまと1本とられました。
いつのまにか、「間違い探し」にゲームチェンジしてるんだもんなぁ。


●追記(2024.02.29)
「手を動かす」に関連して・・・
中学で一次関数を習ったとき、
一次関数をグラフ化すると一直線になることが不思議でたまらず、
方眼用紙に、いくつもいくつも点をプロットしては、
不思議がっていた当時を思い出しました。

結局手を動かして悟ったことは、
「逆に考えろ!直線から外れる方がよっぽど不思議だろ!」です。

少なくとも自分がプロットした点はすべて直線状に並んでいる事実があって、
自分がプロットしきれてない部分において、いきなり直線から外れて、
また戻ってくるようなことがあったら、
そっちの方がよほど不思議だろうという諦観です。
(「トイ・ストーリー」のように、人が見てないときだけを見計らって、
 おもちゃが動き出したり、会話したりするようなことは、
 少なくとも数式の世界に限れば、期待しない方がよさそうだというあきらめ
 とでも言いましょうか。)

後から考えると、この段階で、手を動かしつつ、頭を悩ませたことが、
その後に出てくる"極限"の概念を受け入れる下地になっているとも言えるのですよね。

なんて頭が悪いことをするんだろうと思う人もいるかもしれませんが、
個人的には、手を動かして体得することって重要だと思うのですよね。



# by camuson | 2024-01-13 22:02 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
2023年 12月 15日
英語のハノン 初級 ――スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル 【印象度:92】
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英語のハノン 初級 ――スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル 【印象度:92】_e0020682_12201312.png

2021年発行。kindle版。

youtubeで自称英語職人として活動している時吉秀弥氏が
「悔しいくらいよくできている」
というようなことを言っていたのを聞いたので、kindle版を即購入。

英語を話すためのトレーニングをピアノのハノンに例えたところ、
しゃれてます。
地道な積み重ねが必要であることに納得感を与えてくれます。

特徴の一つは、日本語を介さずに、指示に従って、
前の文章の一部を変化させて瞬時に作文し、
発声するというトレーニングであること。

そして特に特徴的なのが、
5文型に代表される大きな文構造、骨組みに関する文法事項を縦軸、
否定文や疑問文、時制など文構造に関係なく共通の文法事項を横軸と定義し、
トレーニングのテーマとなる文法事項の軸を固定しつつ、
もう一つの軸を適度に変化させて、双方の定着を図るところ。

和文→英文の瞬間英作文の場合、結局は暗記に頼ってしまいがちですが、
本書のような英文→英文のパターンプラクティスは、
暗記したものを取り出すのとはまた異なる脳の回路に
負荷がかかっているのを実感できます。


蛇足:
amazonのレビューで、本書のレイアウトが見にくい、構成が悪い、
などの指摘が複数あってびっくりしてしまいました。
世の中には色々な人がいるものだなぁと。

あくまで音声が主の教材であって、音声先行でまずは聞いてみて、
必要に応じて文字を確認するくらいのスタンスで進めるのが適切な教材で、
むしろ文字に頼ってしまったら、音声教材の価値が半減してしまう気がします。
(まっさらな状態で英語音声を聴くチャンスは最初の1回のみであり、
 何度も繰り返し聞く教材であればあるほど、
 まっさらな最初の1回の貴重性は増加するものなので・・・)
短文の連続なので、わざわざ文字起こしをせずに、
ディクテーションの主要効果(誤聴の気付きと修正)を得ることができる
格好の教材ともなっているのですよね。

本書には、学習の手順が示されていて、
開本音読→閉本音読のように書かれているので、
これを文字通り鵜呑みにしてしまう人が一定数いるのかなと思い、
そこだけは残念に思いました。


文字情報については、文法事項の簡単な説明があるものの、
メインは音声の英文スクリプトとその和訳のみ。
英語教材としては珍しく、余計な飾りが少ないおかげで、
電子書籍化の際に、他の多くの参考書が画像データにされてしまうのに対して
一般書籍同様テキスト化がなされています。
これにより、検索が可能になったり、辞書が使えたり、マーカーを使えたり、
使い勝手が向上しているところが多分にあります。
ありがちな飾りの多い学習参考書風を求めるような世間の圧力(笑)に迎合せずに、
あえて、シンプルな構成に徹したことを絶賛したいと思いました。


10月31日に購入し、約1か月半で1周完了。
(3歩進んで2歩下がるで、3回くらいは重ねて聞いてますが)



https://amzn.to/40MPpfZ



# by camuson | 2023-12-15 22:40 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
2023年 12月 11日
ゴジラ-1.0 【印象度:87】
映画
ゴジラ-1.0 【印象度:87】_e0020682_19181160.png

2023年公開の日本映画。
TOHOシネマズ 新宿 screen10 IMAXレーザー。

怪獣パートとドラマパートとに大きく分けたときに、
怪獣パートは、大迫力で文句なく楽しめましたが、
ドラマパートはいまいちノリきれず、
大きく心を揺り動かされるまでには至らなかった・・・
という感想です。

舞台設定を太平洋戦争の終盤から戦後すぐの混乱期にしたことは、
今までのゴジラシリーズにはないユニークな発想で、良い着眼だと思いました。
これにより怪獣パートにおいては、
今まで味わったことのないレトロと怪獣のコラボに浸ることができました。


一方、ドラマパートについては、いくつかの要素が重なって、
不自然さが目立ってしまい、没入できませんでした。

まず、エヴァンゲリオンのシンジ君のようなヘタレ系主人公に、
既視感を覚えて少しうんざりしてしまったというのがあります。
ヒーローに負の十字架を背負わすために、
色々とやっているという狙いが見えてしまい、
主人公が不都合に陥るご都合主義を感じてしましました。

戦後のガレキと化した町は、よく再現しているとは思うものの、
悲惨な生活感があまり伝わってこなくて、
赤ん坊を巡る2人のやり取りも、どこかリアリティが感じられず、
お遊戯的・お花畑的に見えてしまいました。

役者の演技力というよりも、演出方針の問題だと思うのですよね。
特に主人公とヒロイン以外のわき役たちには、
わかりやすいキャラを大げさに演じることが求められていて、
そのわざとらしさに没入感が削がれることが多かったです。

役者に無駄な演技をさせる隙を与えなかった「シン・ゴジラ」の
演出手法は正解だったのだなとの思いを強くしました。

そこまで極端ではないにしても、役者の演技力に頼ることなく、
解像度が高く流れるような自然なプロットとシナリオをつくり上げるのが正攻法で、
その土台があってこその役者の演技なんだよなと気付かされた次第です。





# by camuson | 2023-12-11 22:36 | 映画 | Trackback | Comments(2)
2023年 11月 28日
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 【印象度:70】
映画
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 【印象度:70】_e0020682_20392099.png

2022年のアメリカ映画。NETFLIX視聴。

アメリカでしがないランドリー店を経営する中国系移民のおばさんを主人公にした、
SF・アクション・コメディ・家族もの。

税務報告のための領収書などが乱雑に置かれた机の上から始まり、
壁にいろんなものが貼られ、物が乱雑に詰め込まれた部屋、
洗濯物が詰め込まれた袋が乱雑に置かれたコインランドリーなどなど、

しょっぱなから続く、映像密度にまず「うわっ」となり、
展開に関しても、とにかく面白ければ何でも突っ込んでしまえ~というような感じで、
アジア的カオス感覚に気圧されて、中盤くらいまでは結構楽しめたと思います。
税務署のおばさん審査官を敵キャラの中ボス?にしたのは、
なかなかよかったと思います。

しかし、中盤過ぎあたりから、終始濃ゆいのに飽きてくるのですよね。
ラスボス?に対してもう少し感情移入ができたら、
また違ったのかも知れません。
動機が腑に落ちないまま、何か色々とドタバタやってるなぁという感じで、
あまり心動かされることが無かったです。

SF設定も、ギャグの多彩さを確保する便利ツールとしては一役買っていましたが、
最後に収斂して心を揺さぶるとか、余韻を残すとか、そういう面ではイマイチなのですよね。



https://amzn.to/3SZ5fC8



# by camuson | 2023-11-28 22:54 | 映画 | Trackback | Comments(0)
2023年 11月 24日
基礎英作文問題精講 3訂版 【印象度:90】
書籍
基礎英作文問題精講 3訂版 【印象度:90】_e0020682_15465854.png

2022年発行。kindle版を2023年5月に購入。


同筆者による英作文の教本「ドラゴン・イングリッシュ」は既読です。
「ドラゴン」は、軽く読み進められる反面、
紙面の都合上か、説明が不足しているところが多々あり、
それをごまかすためなのか何なのか、
説明が欲しいところに限って、
さもそれが当たり前のような書きっぷりをしているところもあり、
正直、鼻に付いたところもあったのですが、
本書はそういう部分が無く、懇切丁寧に解説されています。
なので、本書があれば、「ドラゴン・イングリッシュ」は不要かと思います。


音声教材は、旺文社の「英語の友」というスマホアプリで聞くことが可能です。

基礎構文100例文。論理表現48例文。
まず和文が発声され、その後、それに対応する英文が発声されます。

またこれとは別に、自由英作文(約200語)が50題。
こちらは、まずお題が日本語で発声され、英作文の解答例が英語で発声されます。

文章をじっくり読む時間はなくても、
通勤途中、移動中など、耳が空いてる時間は結構あるものです。
音声教材があるので、まずはイントロとして音声を聞いてしまいます。
そうすると、おのずとわからない部分に興味が湧いてきますから、
後追いで文章を読み込んでいくという
音声でドライブをかけていく学習法が可能になります。
この手の学習は最初の1周目のスピード感が結構重要で、
音声があると、とても効率的に進められるんですよね。


約5か月で、音声は3周くらいまわしたでしょうか。



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# by camuson | 2023-11-24 22:32 | 書籍 | Trackback | Comments(0)