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タグ:マイケル・サンデル ( 1 ) タグの人気記事
2012年 12月 07日
これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学 【印象度:87】
2009年発表。

社会システム(法律、政治、経済等)における「正義(Justice)」を
どう考えていくべきかという話。

ハーバード大学で講義が大人気というのも頷けます。
事例に基づき「正義」についての分析を深めていくのですが、
取り上げる事例が面白い。
事例として最適かどうかはさておき、雑学欲をくすぐられます。


誰でも参加できるものの、
えてして平行線になってしまうテーマに真っ向から取組み、
議論の土台を整える作業にほとんどのページを費やしている感じです。
普段「正義」については考えもしなかったので新鮮でした。

ベンサムやカントやロールズやアリストテレスの哲学が、
現代の問題を解決するための生きた素材として扱われています。
こんなことでもなければ知る機会が無かっただけに有り難いです。


最終的な著者の主張は、最後の10ページくらいにまとめられていて、
共同体における「美徳」の涵養からはじめ、
共同体同士がコミュニケーションを取り、
より大きな共同体の方向性を決めていくというような話で、
これ自体は特に面白くはないです。
みっちり主張が詰まっていて、冗談かます余裕もない感じ?がします。


以下、ちょっと気になったところ。

社会正義に関わるこれまでの理論や哲学を
「幸福」、「自由」、「美徳」の3つの切り口で分析・再整理しているのは、
非常にわかりやすいのですが、少し違和感もありました。
あまり厳密に考えてはいけないのかも知れませんが。

例えば、一部を結構勝手に要約すると以下のような調子です。
(私にはこんな風に読めてしまったという意味です)
(1)功利主義(最大多数の最大幸福)は「幸福」に重きを置いた結果、
少数派の個人の「自由」がないがしろになり、
少数派を切り捨てる「美徳」のない社会となる。
(2)政府の市場への介入を否定するリバタリアニズムは「自由」に重きを置いた結果、
市場競争で負けた者の「幸福」がないがしろになり、
弱者を切り捨てる「美徳」のない社会となる。
(3)政府が「美徳」を押しつける国家では、
道徳観を異にする少数派の「幸福」や「自由」がないがしろになる。

このような整理の仕方だと
3つの要素が互いに対立、競合しているように思えてしまうのですが、
実際に対立しているのは、価値観の違う個人なり、集団なりであって、
(1)ある人・集団の「幸福」を尊重すれば、他の人・集団の「幸福」がないがしろになり、
(2)ある人・集団の「自由」を (中略) 「自由」 (以下略
(3)ある人・集団の「美徳」を (中略) 「美徳」 (以下略
という単純な話があって、

それとは別に「正義」を巡り、「幸福」、「自由」、「美徳」のどこに重きを置くべきか
という側面があると思うのですが、
(3つの要素をそれなりに満足する案があるのであればそれもよし)
何かそれがごっちゃになりがちなのかなと。



これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
by camuson | 2012-12-07 18:13 | 書籍 | Trackback | Comments(0)