2007年のルーマニア映画。レンタルDVDで見ました。
カンヌ、パルム・ドール受賞作品。
予備知識ゼロで見ました。
1987年、チャウシェスク政権下という設定。
学生寮らしきところに住む20代前半?の女子学生二人(ルームメイト同士)が、
なにやら泊まりがけで出掛ける支度をしているところから始まります。
部屋の中は、ぬいぐるみやらのkawaii系グッズなどは皆無で、
無機質で男前です。
さて、泊まり先としてホテルを予約していたのですが、
実際に行ってみると、予約係のミスで予約が入っておらず、
フロントには冷たくあしらわれます。
逆に、前日に予約確認をしていなかったことを責められる始末。
計画経済における供給者側の傲慢さに加えて、利権すら見え隠れします。
余分に請求されたお金はフロントの懐に入ってしまうのでしょう。
そして、映画が始まり30分ほどしたところで、ようやく、
闇医者に闇中絶をしてもらうために、
ホテルを予約したことがわかってきます。
そう言えばネットか何かでみた作品概要に、
妊娠中絶の話って書いてあったなと思い出しました。
勘の悪い私は、ここでようやく、
タイトルと内容を結びつけることができました。
さて、ルーマニアでは、妊娠中絶は違法行為なので、闇市場化しています。
健全な市場であっても医者と患者が対等な関係となるのは難しいと思いますが、
いわんや闇市場をや、です。
ホテル代を支払ってからの価格交渉では、後に引くにもコストがかかり、
供給者側の圧倒的有利な立場により、言い値が通ってしまいました。
仮に金を多く持っていたとしても、やられていたことでしょう。
人間のエゴをコントロールして、推進力として活用しようとする市場経済システム。
人間にエゴはないものとし、資源は計画的、効率的に配分されるものとする計画経済システム。
コントロールされないエゴの醜悪さを、まざまざと見せつけられた気がします。
妊娠をするに至った経緯や相手の男について一切触れないことにより、
想像の余地が非常に大きくなっています。
見た人によって感じ方が著しく異なるであろうところが面白いですね。
他の人の感想を知りたくなる作品です。
私の感想は、
社会システムが悪いのは、重々承知の上で、まあ自業自得かなと。
主人公は、巻き込まれた被害者でもあり、気の毒ではありますが、
妊娠した本人は、胎児を殺すわ、親友を巻き込むわ、
まったく自覚がないので、腹が空いたら飯を喰らうが如く繰り返しそうです。
胎児の父親については、特定できない可能性もあり何とも言えませんね。
仮に特定できるとすれば悪人に間違いありませんが、
この妊娠女に至っては、100人に1人の悪人を100発100中で選ぶような
勢いすら感じられ、同情の余地がありません。
憎めない感じではありますが。
ドジっ娘属性ありますが。
結構好きですがなにか。
映画中で説明はないのですが、ネットなどで調べるに、
当時、チャウシェスク大統領夫人の考案で、労働人口を増やすために、
避妊と堕胎を禁じる政策を布いていました。うん、わかりやすいよ、うん。
結果として、ストリートチルドレンがあふれました。
4ヶ月、3週と2日 デラックス版 [DVD]