1951年の日本映画。白黒。レンタルDVDで見ました。
成瀬巳喜男は初めて見ます。
林芙美子の原作は未読です。
サラリーマンの夫のために「めし」をつくる主婦業に嫌気がさして、
実家に帰って、数日間、ごろごろして、頭が冷やされてきたところに、
夫が迎えに来て、元の鞘に収まるという、
まあ、言ってしまえば、たわいもない日常話です。
日本でテレビ放送が始まる1953年より前のことですから、
その後テレビでやるようなホームドラマの需要を
映画が担っていたんでしょうね。
原作ありのホームドラマという時点で、
監督の作家性が出にくいのだと思いますが、
質素なサラリーマン夫婦を上原謙と原節子という
必ずしも役に似つかわしくない映画スターに演じさせているところも、
配役が先にありきの印象を持ってしまい、
監督の作家性が今ひとつ見えて来ないところですね。
ただ、作家性が表に出てこない分、
時代の要求に忠実につくられているように感じられ、
時代の記録として、貴重なものになっているような気がします。
その反面、非常に古臭さばかりが目立って、
時代を超えた何かが感じられないってことでもあるんですけどね。
ここからは余談です。
本作は大阪が舞台になっているのですが、
この時代に、すでに、くいだおれ人形があったのですね。
そういうことがわかるだけでも、なかなか貴重です。
過去の名作を見ると、後でキャストを見たときに驚くことが多いのですが、
本作もご多分に漏れずでした。
日本人離れした目つきをした貧相な若者が大泉滉だったり。
(ヒゲがなかったので、まったくわからなかったです)
脇役が板に付いた青年がいると思ったら、小林桂樹だったり。
(ご冥福を心よりお祈りします)
めし [DVD]