書籍
1928年発表の短編作品。角川文庫「瓶詰の地獄」より。
家具の木目とか、布団の皺とかが人の顔に見えてくると言うのは、
特に子供の頃はよくありました。
断片的な点や線を、心が勝手に補完してつなぎ合わせて、
心象を投影してしまうんでしょうね。
本作はそういった現象を作品として昇華したもの。
独特のディテール描写や文体により、
醸し出される雰囲気は相変わらずですが、
「瓶詰の地獄」同様、解釈を読者に委ねるタイプで、
スッキリ感がないのですよね。切れ味が物足りないというか。
瓶詰の地獄 (角川文庫)