漫画
1975~76年にフランスの漫画雑誌に連載されたバンド・デシネ作品。
原語(フランス語)版は高価だったので、
ドイツ語版をamazon.jpで購入したのですが、
発送元はロンドンだったようです。
さて、作品についてですが、
翼竜に乗った主人公がファンタジー世界を冒険する様を、
台詞やト書きなしのグラフィックアートで表現した短編作品4編です。
宮崎駿や大友克洋などが影響を受けたというくらいで、
絵は写実的で、当然上手いのですが、
勢いのない細かい線と点を高密度に書き込む手法は、
繊細さや力強さがなく、ほとばしるものが感じられません。
ファンタジー世界の描写も、
当時はそれなりに斬新だったのかも知れませんが、
内部世界に入り込んで浸れるほど深い設定が描かれるわけではなく、
今となっては、特別な何かを見出すのがなかなか難しいですね。
(文字なし短編という限られた情報で、
いかに読者がインスピレーションを得るかにかかっており、
読者を選びそうです。)
ナウシカのメーヴェを見たときの颯爽としたワクワク感と同じもの、
というかそのオリジナルがここにあることは確かなのですが。
「恋の門」の主人公が、石漫画を描く前に書いてた漫画は、
本作の影響をモロに受けてそうですね。
Arzach