書籍
1948年発表の小説。青空文庫版。
「
青森 旅ラン」で青森県五所川原市(当時北津軽郡金木村)の太宰治の生家
「斜陽館」を訪れたのをきっかけに、再読してみることにしました。
これまで、学生の頃に作品全体を読んだものと思い込んでいました。
しかしながら、あるクラスメートに「ワザ。ワザ」と道化を見破られたり、
陰惨な絵を描きあげたりのエピソードは覚えているのに、
その他の部分はまったく覚えていなかったことから、
実は第二手記の部分抜粋を教科書で読んだだけであったろうことが発覚しました。
(同様の勘違いを夏目漱石の「
こころ」でもやってました)
作品全体を通して、ここまでこじらしてしまうと笑うしかないという感じで、
ユーモアに溢れていていますし、
ベクトルが内側に向かってしまうと、際限なくグダグダになりそうなところですが、
そんなことないどころか、ほとんど無駄がなく、
エンターテインメントとしてよく練られているなと思いました。
人に対して恐怖を抱きながら、何故か密接に交わるという・・・
恐怖感を持つ前に、交わることをやめてしまいそうなところで、
そうはならないところが、お茶目だなと。
そこまで厭世的なのに、どこまで世俗に染まってんねんていう。
この人(主人公)の生まれ持った才能なんでしょうね。
人間失格