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ランまとめ
2018年 07月 13日
舟を編む 【印象度:75】
2011年発表。電子書籍購読。

なんか、独特の、のんびり感というか、のほほん感と、
扱っている素材の割には、がっつり深入りせずに、
平易な言葉で淡々と進んでいく感じが、
面白い感触の作品でした。

主人公が辞書編集部に引き抜かれ、新しい辞書づくりが始まるのが第一部。
その十数年後の辞書発売間際のバタバタが第二部。
大きく2つの時間断面に集約させて、
間をすっぱり省いたのは、すっきりして良かったと思います。

しかし、あんなラブレター?でうまくいったのは最大の謎で、
実は主人公はめちゃくちゃイケメン説を、提唱せざるを得ない状況です。



以下、作品の感想というよりは、
作品をきっかけにした、辞書づくりに関連する連想です。

まず最初に感じたのは、
「辞書づくりは、なんてアナログだよ」です。
監修を勤める国語学者の老先生は、
日頃からペンとカードを肌身離さず、
新しい言葉の採集、用例カードづくりに余念がありません。
新辞書作成に当たっては、それを材料に、
見出し語として何を採用すべきかを検討、
およその収録語数、ページ数などを固めます。
専門的な用語などは分野ごとに区分して、専門の執筆者に依頼。
専門執筆者先生が書いた、独りよがりの客観性のない記述を添削。
専門執筆者先生激怒。土下座強要。愛人弁当。脅迫。
(中略)
印刷所に依頼して印刷したものに赤入れをして、
それをまた印刷して、これを都合5回行うとのこと。

デジタル的な手法を用いている痕跡が、ほとんど見当たらないのですよね。

老国語学者の最後の仕事でもあり、
従来型の手法による、丹精込めた職人的な辞書づくりを踏襲した
と言うことだとは思いますが、
このような辞書づくりは、ますます希少になっていくんだろうなと。

その一方で、本書内では一切触れられていませんが、
今後、辞書づくりがどのように変化していくのかについて興味が湧きました。


辞書に適した紙の開発の話は面白かったですね。
個人的には薄くて、滑りやすくて、手垢が綺麗に乗りやすい紙がいいです。
紙の辞書には一番こだわって欲しいところです。


あと、興味深かったのは、
諸外国では、辞書づくりは国の威信をかけた、
国で使用する言葉の定義を行う国家事業であるのに対して、
日本では、出版社による民間事業であるという指摘です。

私自身、最近はもっぱらWEB辞書ばかりで、
さっぱり紙の辞書を使用しなくなっていますし、
少なくとも紙の辞書の売上は今後減り続け、
事業的に厳しくなるであろう事を考えると、
国語辞書は、学者が国のお金で地道につくっていくような
流れになっても仕方がないかなと。
その他の、流行語辞典、もろもろの専門用語辞典などは、
民間がそれぞれ工夫して、特色を出して、
利用者のニーズを汲み取って、採算を取ればいいですよね。


(メモ)
松本先生は千葉県柏市在住。
柏駅からタクシー5分の1戸建て。
柏出身者としては親近感が湧きました。

地道な努力の例として禅海和尚が例に挙げられています。
大分中津、耶馬溪の青の洞門は禅海和尚の尽力で、
30年かけて掘り抜いたといわれています。
知らなかったら流してしまうところですが、
たまたま最近行ったところだったので、食いついてしまいました。
(耶馬溪の紀行文はコチラ→「大分 旅ラン(その1)」)
by camuson | 2018-07-13 20:40 | 書籍 | Trackback | Comments(0)
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