書籍
2017年発表の小説。
大学生の男女が参加する合宿クローズドサークル。大好物です。
主人公君が美人女子先輩方に、結構かわいがられちゃってる風なのが、
リアリティには欠けるものの、まあ楽しめます。
そして、クローズドサークルを創り上げるために、
合宿所の周囲をゾンビで埋め尽くしてしまうという、閃きと力業。よいです。
全体的にはロジカルな本格パズラーながら、
一人目の殺人は、そこからはハズれているので、
そこに推理のパワーをかけてしまったのが、ちょっと無駄になった気分です。
二人目の方も、像が2つというところに着目しすぎて、
犯人がエレベータに乗っていた可能性など、無駄な推理をしてしまいました。
最後には、探偵役によって、ロジカルな解答が示されますが、
そこまでロジカルに考えなくても、
消去法でほぼ犯人が絞られ、
ストーリー構成上ほぼ特定できるので(特にとどめ刺したところで)、
犯人確定の驚きはほとんどありませんでした。
ガチガチにロジックを固めるために設けた、
ライトの付けっぱなしのような、取って付けたような状況は、
必要かも知れませんが、邪魔くさい気がしてしまいました。
本筋での驚きがあまりない分、
洒落た変化球的なサプライズが仕込まれていますが、
いろいろやり尽くされた中では、こういう方法しかないんでしょうかね。
まったく気づけなかったわけですが、
バッターボックスを外していたときに、投げられた感じで、
直球ど真ん中で空振りさせられたような気持ちよさはないのですよね。
とは言え、めちゃくちゃ楽しめました。
ゾンビを、人間に噛みついてゾンビ化させることだけを
愚直に遂行する動物以下の知能のマシーンとして描いているのですが、
脳細胞が死滅した人間の死体を外部的な力で動かすことを考えると、
至極まっとうだと思える上に、
映像作品等では、こんなアホなゾンビは見たことがなくてとても新鮮。
じわじわとクローズドサークルが狭められていくのもエキサイティングでした。
あと、一つ気になったのは、ラジカセが止まった後に、1曲目から再生されたこと。
ということはカセットではなく、CDだと思われるので、
そこは正確にCDラジカセと記述して欲しいかなと思いました。
屍人荘の殺人