映画
2000年のアメリカ映画。netflix視聴。原作未読。
「
世界は贈与でできている」で引用されていたので、見てみることに。
主人公の少年が、社会科の授業の研究課題として、
幸福の手紙や不幸の手紙と同じ要領で、3人に対して善行を行い、
善行を行われた人は別の人3人に善行を行う「Pay It Forward」
というルールを設け、
ねずみ算的に社会に影響を与えようとするという話。
とはいうものの、実際は、主人公少年が、善行という名目で、
その主人公少年を担当する恋愛に奥手な社会科教師と
少年の母親をくっつけようと画策するという話がメインです。
一応、善行のチェーンも知らないうちにつながってたようです。
少年→母→祖母→チンピラ→紳士→記者
善行がつながること自体に、かなりの嘘臭さを感じますが、
善行のチェーンが間に2人の他人を挟んで、記者に到達して、
TVで報道されるという流れも、作り話臭くてなんだかなと。
そもそもが胡散臭いので、ここのリアリティに力入れてもしょうがないのも事実ですが。
そんな中、社会科教師の顔のケロイドのメイクは、あまりわざとらしくなく、
本物っぽくてよかったと思います。
P.S.ネタバレあり
この作品に対して、「
世界は贈与でできている」の作者が、
主人公少年が人に与えてもらってないのにもかかわらず、
人に与えてしまったから死なざるを得なかったという解釈をしているのですが、
それには真っ向から同意できないことを確認できてよかったです。
あえてなぜ死んだのかを考えてみるとしたら、
志は尊くても、実現可能性がほとんどない手法では、簡単に世の中が変わるわけもなく、
映画が嘘つき呼ばわりされないために、
かつ、健気な志が視聴者の印象に残るように、作家によって殺されたと解釈できるでしょうか。
人に与えてもらってないのに人に与えたから死なざるを得なかったという解釈に至る糸口を、
見つけ出すことができませんでした。
他のレビューなどを見ると、終盤の展開に賛否あり、
否の方には「感動の押し売り」というような意見もありましたが、
自分が終盤の展開自体には一切感動しなかったこともあり、
その見方には思い至りませんでした。
たしかに主要3人の役者はすべてうまいし、終盤までそれで持っているところがあって、
そこだけ見ればそこそこ質の高い映画なのですが、
(自分があまり興味のないテーマだったので、それに引きずられて見落としがちでした。)
終盤の展開は取ってつけたような作家の意図がありありなのは誰でも気づくところで、
そこは、えらい雑だなと思いつつも、エクストラステージのようにとらえてしまい、
作家がそうしたいのならそうすれば?くらいの感じでしかなかったです。
これはネタバレにより展開を知っていたのも少なからず影響があるかもですね。
近内のせいですわ。
近内悠太のせいですわ。
作品世界に感情移入できなかったのが一番大きいですが。