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2017年に放映されたインタビュー作品。amazon prime視聴。
(英題:The Putin Interviews)邦題は一体どこから付いたのか?
2015~17年の間に行われた映画監督のオリバー・ストーンと
ロシア元首プーチンとの対談を約1時間×4本にまとめたもの。
一言でいうとプーチンの魅力に溢れるインタビュー。
相手の話を聞き、柔軟性を示しつつ、主張すべきは主張する。理知的。
ストーンは基本的な立ち位置として、アメリカ政府に対して厳しく、
ロシアに対しては同情的であり、
対談において二人の意見が真っ向から対立するということはなく、
また、プーチンはストーンに対して、一定の敬意を持って接しており、
がっちりと噛み合った対話が実現できていると思います。
企画として貴重だし、実現できたことも貴重だと思います。
インタビューのシチュエーションも様々で、
豪華な公邸の中をめぐりながら話を交わしたり、
プーチンが出場するアイスホッケーの試合終了後の会場席で対話したり、
プーチンが車を運転している助手席にストーンが乗って、
後部席の間から翻訳が体乗り出して翻訳していたり。
(絵ヅラとして面白かったです)
がちがちに準備した質問ではなく、
シチュエーションの違いによって引き出される何かを期待しているのと、
プーチンのプロモーションビデオという側面ももちろんあるのでしょうが、
4時間に及ぶ長編を飽きさせないという意味で、
大いに役立っていたと思います。
また、軍事についての話をする中で、
核兵器の誤射を扱ったスタンリー・キューブリック作「
博士の異常な愛情」を
プーチンが見たことが無いと答えたことから、
鑑賞会を行って感想を聞き出すというのもなかなか粋な試みだと思いました。
そして、改めてウクライナ問題についてストーンが話を振ると、
ウクライナのロシアからの独立から、マイダン革命、クリミア併合
までに至る経緯をプーチンも本腰を入れて話し出します。
以下、私的連想になりますが、netflixによるドキュメンタリ作品である
「
ウィンター・オン・ファイヤー: ウクライナ、自由への闘い」
で描出された、平和的なデモが死者100人を超す弾圧に発展する様子には、
何とも言えない違和感を感じたことを思い出しました。
狙撃手たちがゴム弾に実弾を混ぜ始めたという証言を聞いて、
何じゃそりゃと思ったのを思い出します。
上記作品の描写の流れから、見た当時は、
よくわからないけどベルクト(ウクライナ警察)ひいてはヤヌコーヴィチの仕業なんだと
単純に思ってしまいましたが・・・
本作においてプーチンが語った、
騒ぎを大きくしたい何者かによる仕業という主張の方が、
よほど辻褄が合うのですよね。
ベルクトはゴム弾しか使っていなかったけれど、
闖入者が実弾で狙撃し始めたと考えた方が。
結局、騒ぎを大きくしたい真犯人は、今もって不明で、真相は分からないのものの・・・
戦争が起こって利益を得るものが、旧来の兵器メーカーだけにとどまらず、
戦争の遂行そのものを請け負う民間軍事会社などが発達した現代社会は、
相当に深い闇を抱えているのではないかと勘繰ってしまいましたね。
オリバーストンの映画作品「スノーデン」に関連して、
大統領選挙をはじめとしたロシアによるハッキングを追及したりしてましたが、
むしろこれはアメリカの諜報機関やメディアのあくどさが際立ったような気がします。
「
スノーデン」は未視聴なので、見てみたいと思いました。
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