伊坂幸太郎の2004年の作品です。伊坂幸太郎は初めて読みます。以下感想。
違う視点による物語を、場面ごとに繰り返して、最後に収束させるという構成は、
村上春樹の「世界の終りと~」に似てますかね。
1区切り、5~10分程度で読めるので、
なかなか読書の時間がとれない現代人にはうってつけだと思います。
結果的には、次の電柱まで頑張ろう的に、
だれることなく一気に読めてしまいましたね。
高度情報化社会において、あふれる活字に溺れがちな者からすると、
小説と言えども、見出しを細かく付けて、できれば目次まで付けてほしいくらいです。
(最初に目次を眺めて思い描いた物語と本編とのギャップを楽しむのも乙かと思いますし)
作品に戻ります。
最初の方は、表現がぎこちない感じがして、気になったのですが、
物語が佳境に入ってくると、あまり気にならなくなっていました。
殺し屋の中では、自殺屋と押し屋はなかなかいい雰囲気が出ています。
蝉とか鯨とか出てきますが、鼠や羊が出て来なかったところも評価できます。
殺し屋の物語というと、メディアは異なりますが、
山本英夫のマンガ作品「殺し屋1」を思い出してしまいがちですよね。
あのように読者の不快中枢神経に直接突き立てて、
ぐりぐりかき回してえぐるような描写は無いので、
そういう意味で誰にでも安心してオススメできます。
何か大きな感動が得られるような作品ではないと思いますが、
話の展開を楽しむ娯楽作品としては良くできていると感じました。
追伸
グラスホッパーとは、英語で昆虫のバッタのことです。
都市に棲む人間の密集度は、ほ乳類のそれよりも虫に近いとし、
密集すると凶暴化するバッタに例えているわけです。
話は作品から離れますが、
リキュールベースの緑色のカクテルに「グラスホッパー」があります。
飲み物に昆虫の名前を付ける感覚は日本人にはあまりなく、面白いですね。
青汁並みに青臭そうです。
(追記)
アメリカでは蝉の大発生時に蝉入りソフトクリームがバカ売れとのこと。
虫は案外平気なのでしょうか? なぜ入れたしorz
日本でもバッタ混入サラダが流行ったり、
ゴキブリ入りペヤングが流行ったりしたので人のこと言えねぇorz
グラスホッパー (角川文庫)